犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる？
□君＝恋愛ゲーム≠ハッピーエンド
1ﾍﾟｰｼﾞ/5ﾍﾟｰｼﾞ
お前はいつだってそうだ。
俺が勇気を出し名前を呼ぶときも。
俺がそっと触れようとするときも。
俺が体を震わせながら愛を告白したときだって。
「なぁ春海」
今だってそうだ。
彼女は俺と出会ってからずっと変わらない。
今返ってきたのはなーに、と間延びした緊張感の欠片もない声である。
思いを告げて早二年。
彼女は日本の家の人間で、俺はイギリスという国で、そんな俺でも付き合ってくれないかと言ったのだが。
「大丈夫だ、問題ない」
いったいなんのアニメだくそっ！
春海は所謂オタクってやつで、さっきの告白の返事もエルシャ○イというゲームのセリフだというのも後から知った。
実の所俺はの彼女目を見て話した事が数えるほどしかない。
むしろ無い。
付き合い始めて二年。
キスはおろか、手を繋いだことすらない俺ら。むしろ仕事相手の女の方がスキンシップがあるだろう俺らの関係。
そして今度の休日は二年と二ヶ月の記念日である。
だからデートにでも誘おうかと春海の家にやって来たわけだ。
「今度の休日、レストランにディナーでも行かないか？」
「だが断る」
「なんでだよ！」
「ニコ生に好きな歌い手さんが出るから」
春海は最近はまっているポケモ○のゲームから目をはなさずに言った。
デートの申し込みにこの断り方って！
もう何度同じ言い訳でデートを断られたかわからない。
床に手をついてうなだれた俺は、負けじとなんとか春海を外に連れ出そうと考える。
頑張れ俺！
俺はグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国、通称イギリスだ！
できない事は多分ない！
「じゃあ新しく出たマンガでも買いに行かないか？」
「新刊は購入済み」
「じゃあゲームとか！ ほら、モンハ○ってのが新しいのでるんだろ？」
「まだ出てないから。発売日ぐらい覚えてろ」
ちっくしょおおおお！
なに、これどうすればいいんだ！？
いっその事菊に相談でもすれば解決するのか？ しかし菊に相談したのは今まで数え切れないほどだ。
それこそ春海と電話した回数より、俺春海と電話した事あったっけ？