犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる?
□苦手、でも君なら好き
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『……兄様、』
「どうしました」
『どうしましょう』
「どうしました」
『脚が動かないのです』
「そんなわけがないでしょう」
『あるんです、動きませんの』
「まだ家の玄関じゃないですか」
『今日彼に渡すのだと考えただけで動けないのです』
「……はぁ、」
兄様は私の手を引いて歩き出す。
向かうは我が校、W学園。
彼処には、彼がいらっしゃるのに。
『兄様』
「なんです、春海」
『やはり私には無理です』
「無理じゃないでしょう」
『今彼に会ったら私は死んでしまいます』
「死にませんから」
『心臓麻痺です』
「ありません」
『あるんです、死んじゃいます』
「……はぁ、」
兄様はまた溜め息を吐く。
そんなに溜め息ばかり吐いてると幸せが逃げますわ兄様。
「…なら昨日作ったチョコはどうするんです、春海」
『…爺様の仏壇にお供えしますわ』
「アーサーさんの為に作ったんでしょう」
『そうですけど…迷惑かもしれません』
「…彼に限ってそれはありません」
『もしいらないと言われたら、私立ち直れませんもの』
「絶対にないですから」
『絶対なんてこの世にはないんですのよ、兄様』
「でもアーサーさんは受け取りますよ」
『……証明できませんことよ』
「……もし彼が受け取らなかったら、この兄を殴っても良いとしまs」
『頑張りますね』
「即答じゃないですか」
『さぁ行きましょうか兄様』
「………」
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