犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる?

□LAN AWAY!!
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遂に私たちは会場の廊下から外へと飛び出してしまった。
中庭らしいそこにはバラや木イチゴ。更にブルーベリーやらプルーンやらの果物までが茂っている。

どうやらここの気候が良いせいなのか、手入れが行き届いているせいか、どれも美味しそうに実っていた。


さすが私の家である。


しかし改めて、ここが私の家である事を考えると、なにが悲しくて家中を駆けなければいけないのだ。

掃除が面倒だぞまったく。


「あははは、待てやぁ」

「うふふふ、黙れこの×××」


満面の笑顔で私を追いかけるカリエド。
罵倒を浴びせてカリエドから逃げる私。

なんとも言えぬラブコメだ。

と言うかカリエドの笑いが怖くて仕方がない。
怖すぎて笑えない。


私たちは白いバラの周りをぐるぐる回って回ってバターにならんばかりに走っていた。
というかいっそバターになれば楽になれんじゃないかな。なれるよね。


「親分ストライク!」

「名前だせえ!」


しかしその意味不明な技の威力は凄まじく。
ぐるぐると回っていた私たちの距離を一気に詰める獣の様なジャンプ。

突っ込んでる暇なんかなかった。


スローモーションに見える事すらもなく。

まばたき2つ分。

1つ目のまばたきで奴が足を曲げ力を溜めて、そして伸ばしたのを見た。
2つ目のまばたきで、私は地面にスライディングしたカリエドを見た。


「大丈夫か春海!」

「アー、サー・・・・・・グッジョブ!」

「カークランドぉおお」


地面に平伏したカリエドが私、の後ろにいるアーサーを睨んでいた。
私の足がブラブラと空で揺れる。

私はアーサーに抱えられていた。
片腕で、決して抱き上げるではなく抱えると言う形で。
もう少し優しいやり方は無かったのだろうか。


「お前・・・・・・絶対許さへん」

「アーサーサンキュー! 流石紳士」

「べ、別にお前の為なんかじゃないんだからな!」


草を鼻に付けたカリエドがドスの利いた低い声でアーサーを呼んだ。
そういえば彼らは仲が悪いんだったとそれを見て思い出す。

後ろでアーサーが鼻を鳴らし笑うのを感じた。


私の頭の上にあるそのアーサーの顔を見れば、私が二度も英語を使った所為か若干顔が赤かった。楽しそうだ。


「春海、そろそろランチの時間じゃねえか?」

「ホントだ! 今日のお昼は海鮮の予定だよ」

「まじか楽しみだな」


アーサーがいつまでも私を放さないのが疑問だが、私たちはそのままその場を離れる事になった。
なるはずだった。
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