犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる?

□ゆびきりと約束は
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「何でここにいるの」

「それはsecret的な」

「まじ帰れ的な感じ」


わぉ、なんかその喋り方新しい感じしますね。と男の癖に形の良い唇が言って。
少し見とれると同時にほんの一瞬だけ誉められたかもとか思ってしまった自分が恨めしい。


「誉めてはない的な」


知ってるよチクショウ!


ぼすんと私に叩かれた布団が二回、三回ぐらい悲鳴をあげた。

若干埃がたってそれがまた苛立つ。しまったアレルギーなのに。
・・・・・・悪かったな、頭が悪くて。


悔しすぎて、そして居たたまれなくなってしまったので、叩いてぺしゃんこになった布団をまた被った。
二度寝だか三度寝だかを決行である。

布団の中の真っ暗な空間がすごく落ち着く。
自分だけの空間って感じで。

自分だけ、の・・・・・・


「なにしてるんスか」

「そっちこそなにしてるの」


ずしりと重たい感覚。
布団の中に居るからって、乗られてるからって、金縛りではない。

だって朝だし。
というか、流れ的に可能性は一つしかないわけで。


「Goodmorning,How are you?」

「黙れ英国領め」

「Wow,それは流石に怒りますよ」


イケメンの声が聞こえた。
でも何言ってるかさっぱりわからないから、わかりたくもないからやっぱり憎たらしい。
ばーかばーかと布団の中で聞こえない様に悪口を言った。


しかし。事態はそんな事言ってる場合じゃなかったのだ。
横向いて寝ていた所為で、ちょうど腰あたりの上に乗られると股関節がみしみしいってそうで。
激しく緊急事態。

せめてうつ伏せか仰向けの時だったらこんなにも苦しくないのに。苦しいのは変わらないけど。


「降りろばか・・・・・・」

「ばかばか言うところは春海の方があいつに似てますよ」


あんだと! と力いっぱい叫ぶのと一緒に体もぐるりと回す。
自分でも驚くぐらいの底力。気合いってすごい。

あっと言う間に重さが私から消えたのは良かったがしかし、体制が座る形に戻ってしまった。
そしてベッドの足側に三角座りした奴と対面する形になる。


あ、やばい寝癖ついてたらまた馬鹿にされる。


「春海まぶたが三重になってる的な」

「悪かったな!」


ぷぷー、と笑いながら私を指さした奴。
次の瞬間には枕が奴の顔に吸い込まれていっていた。
私は何もしていない。枕が勝手に。
あれれ可笑しいな?


私は何もやってないような気がしてたんだけど。
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