犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる?

□君が好きって言ってくれるなら
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Ciao!
俺の名前はフェリシアーノ・ヴァルガス。パスタとピッツァが大好きなお茶目さんだよ。

俺には今、好きな女の子がいるんだ。


「─それでね、そう言ったらルートったら恐かったんだよ〜。俺、思わず菊を盾にしちゃったもん〜。」

「それはフェリがサボるからだよ。ちゃんと訓練には出ないとー。」


彼女が、俺が想いを寄せている春海。
いつも俺の話を聞いてくれて、すっごく良い人なんだよ!

でも春海とは未だに友達止まりで、告白もできずにいる。
というのも…


「本当、フェリは可愛いんだから〜。」


言いながら頬を緩ませている春海。

そう。問題はこれなんだよ。春海はすぐ俺のことを可愛いって言うんだ。


「え〜。俺より春海の方が可愛いよ。」

こんな事を言ってみても、

「あはは。またそういうこと言って〜。」

こうやって軽くあしらわれちゃう。

この前は、これでむくれたらまた可愛いって言われたしなー。
もしかして─もしかしなくても俺って男として見られてないんじゃ…?


…といった事が最近の専らの悩み。


「女の私より可愛い…いや、それは私に問題がある?私が女らしくないってこと?いやいやそんな。フェリが極端に可愛いだけだって!」


春海は何かぶつぶつ呟いてる。
俺は春海の方が可愛いと思うんだけど。

こんな風に歩いていたら、あっという間に会議室の前。


「そういえばフェリは今日遅刻しなかったね。」

「うん!今日は早く起きられたんだ〜。」


だって春海と話したかったし、それに、

「ねえ春海、今日は隣同士で座らない?」

「うん、良いよ。」


一緒に来れば席だって隣になれるしね!

菊の家の言葉であったよね。何だっけ?
早起きはサンモンのトク、だっけ?
サンモンって何だろ?人?あとで菊に聞いてみよっと。


しばらくすると会議が始まった。今日の司会はアーサーみたいだ。
他の人が仕切りだからか、アルフレッドは何となく元気がない。

「Power down…」

とか呟いてる。


アーサーの話長いなーとか、アントーニョ兄ちゃんまた内職してるなーとか考えていると、ふいに春海に肩を叩かれた。


「なあに?」

「ごめん、メモ用のペン忘れちゃったみたいで…。予備があったら貸してもらえない?」

「いいよ〜。はい、これ。」

俺は自分のペンを差し出す。白くて丸い、もちみたいなマスコットがついたやつ。

「ありがとう!」

ひそひそ声でお礼を言う春海。ちゃんと細かいところまでメモするんだから真面目だよな〜。


う〜ん、それにしても俺が可愛いって言われる所以は何なんだろう?


だってだって、俺も男だし、好きな人にはかっこいいって思われたいもん。
あ、という事はかっこいい人の真似をすれば良いのかな!

フランシス兄ちゃんとか?


─「春海。君のベッドに行くにはどうすればいいのかな?(キラーン」─

みたいな?


…う〜ん。
何て言うか、これは俺じゃないよね。


じゃあ菊の家風に、

─「そなたのこと、お慕い申しておる!(キリッ」─



………………。

何か色々おかしいし、菊に怒られそうだね。


「フェリシアーノ君、どうしたんですか?先程からずっと百面相してますよ。」

色々と考えを巡らせていると、その菊に声をかけられた。


「ヴェ!そうだった?えへへ、ちょっと自分探しの旅に出てたんだよ。」

「(じ、自分探し?)…そうですか。若いですねぇ。」

「え〜。菊がおじいちゃんなだけだよー。ていうか、菊っていくつなの?」

「それは国家機密です。」

「ヴェー…」


相変わらず菊は謎の多い人だなあ。


そうこうしている内に、皆の空腹のため会議は解散。
俺は春海と一緒に廊下を歩いている。


因みに、あの後意見を言うように言われて、とりあえず
「パースター!!」
って言ったらルートに怒られちゃった。


「ははっ。フェリ、またルートに怒られちゃったね。」

「もー、春海のせいだよ。」


むぅ…。
別に本気で怒ってなんかないけど、おどけつつも少しむくれてそう言ってみた。


「え?私?どうして?」

「春海がいつも、俺のこと可愛いって言うからだよ。」

「だってフェリの行動とか表情とかが可愛いから。」

「でもさ、俺だって春海にちゃんと男として見てもらいたいのに。」

「え…?」


春海は目を丸くしてきょとんとしている。

…やっぱり春海は俺の事を異性だって意識してないのかな。


「…私は、フェリのこと好きだよ?その─男の人として。」

「えっ!?」


考えていたこととは正反対の事を言われ、今度は俺が驚いた。

だって、春海が俺を好きだなんて。
そんなの考えてなかったよ!


「ほ、本当に?俺全然男らしくないし、ヘタレだし泣き虫だし…!」

「良いの。フェリのそういうところが好きなんだよ。」


にっこりと微笑んでそういう春海。
やっぱり何だか春海に優位に立たれてる感じがするけど、そんなのどうでも良いよね!


「春海っ!俺も春海のこと大好きだよ!」


俺は春海を勢いよく抱きしめた。


「フェリ、苦しいよ…!」

「えっへへ、だって嬉しいんだもん!」

「もう…!」


俺は泣き虫だしヘタレだしすぐ白旗ふっちゃうし、女の子にも可愛いって言われちゃう。

でも、


君が好きって言ってくれるなら


それでも良いかな!なんてね。




End.
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