犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる?

□あいらいくゆー!
1ページ/6ページ



本日は世界会議。各国が集まって平和の為に会議を執り行う。
まぁ、当然。今日も誰彼が自由に行動し、まったく進まなかった会議の休憩中だった。

休憩室に入り浸るのは、本来ここに居るはずの無い人間であるギルベルトと春海。
二人とももうとっくに国としての役割を全うし、今は特になにもせず自堕落な生活を続けている。
そして彼らといつも一緒にいるのは、自称トレビアンなフランシスと太陽の国アントーニョ。誰もが知る悪友の四人である。


「ちょ、クーラー忘れた」

「しゃあないな、ほれ」


休憩中だからと遠慮無しに、カチャカチャと小さな機械を弄る四人。時折会話しながらもそれに熱中している。
どうやらそれはゲームのようで、その機械からはなにかの鳴き声や音楽が小さく鳴っていた。

フランシスが顔を歪めなにか叫ぶと、他の三人が顔をしかめる。
アントーニョが片手を機械から離してジュースを口に運んだ。はぁと意味ありげに溜息を吐く。


「なんだよフランシス、オチてやんの」

「しっかりしてよフラン」


黒い髪をポニーテールにして、春海はうあーとゲーム機を投げ出した。
その画面は暗くなっているようで、どうやらなにか失敗してしまったようだ。

銀髪を軽く整えなおしたギルベルトが置かれているシュークリームに手を伸ばす。


「あ、それ春海の!」

「え、私の!?」

「なんだよ早い者勝ちだろ」

「それ俺食べてへんわ」


四人そろってゲーム機を放り出したかと思えば、机の上に置いてあったシュークリームに群がる。
それは周知のいつもの悪友組。彼らから少し離れたところに座る、菊が微笑ましそうに見ていた。

もはや、そのやかましさを注意するルートヴィッヒも居ない。片隅で頭を抱えては居るが。


結局シュークリームはギルベルトと春海が両手に一つずつ、アントーニョへと一つ渡る。
見事二つ手に入れた春海がそれを頬張り、ふんわりと笑顔を作った。それを見て三人も笑う。

悪ふざけばかりしている問題児。その集まりがこの四人。


昔から喧嘩や仲直りを繰り返している四人だが、最近はすっかり仲良くゲームに興じていた。
平和なのはとても良い事である。


「春海そんなに食べると豚になるぜ!」

「何を! ギルだってビールっ腹のくせに」

「俺は明日からトレーニングするから良いんだよ」


そんないつもと変わらないじゃれあいが、ある男をきっかけに一転する事になる。
それをまだ、彼らは知らない。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ