long
□記憶
1ページ/15ページ
彼が眠っていたこの数日…
上からは僕の不注意だと激怒され
日に何度も出現する閉鎖空間へ毎回赴き
精神的にも体力的にもキツイ日々だった。
でも…
「やっとお目覚めですか。ずいぶん深い眠りだったようですね」
やっと彼が目を覚ましてくれた。
どんなに上から怒られようが
どんなに灰色空間でキツイ思いをしようが
彼が目を覚まして
「古泉」
と 一言
僕を呼んでくれれば
全て吹き飛んでしまう
それほど 僕にとって彼は特別な存在なのだ
「目を覚ましていただいて助かりました。本当に、どうしようかと思ってたのですよ。
おっと……ぼんやりなさっておられますが、僕が誰だか解りますか?」
三日ぶりに彼の声が聞ける嬉しさから、やや早口でそう言うと
少し間をあけて困惑気味に彼はこう言った
「あ…の…どちら様ですか?」
そう言われた瞬間
頭が真っ白になってしまった…。