旧拍手文
□valentine
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街に漂う、甘いカカオの香り。
お菓子屋さんの陰謀とは知りつつも。
ついつい、カラフルな包装紙に目を奪われて。
思わず、一つ手に取って、はたと考える。
甘いこのチョコに、密かに隠されている真実に。
女心に疎いと、いつも申し訳なさそうな表情のあなたの、顔を思い浮かべて、苦笑する。
口に入れたら、一瞬でとろけていきそうな、チョコレートと共に、私の気持ちもあなたの中で、溶けて行ってくれればいいのにな。
渡した時の、あなたの笑顔を思いながら。
チョコの甘さに負けないくらいのあなたの笑顔。
私の前だけで、見せていて。