02/06の日記

16:09
ある日のある放課後ある場所で
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「そういえば翼君って、宇宙科だよね?梓君みたいに、毎日走ってたりするの?」

夕陽が射し始めた生徒会室で、ふと資料に向けていた視線を上げてみると、

「ぬ〜、急にどーしたんだぁ?」

一樹会長と颯斗君のいない生徒会室に、
“寂しくない?”と、ラボから実験道具を持って出てきてくれた翼君。

「梓君は走ってるの見たことあるけど、翼君はないな、って思って。翼君は1人の時に何してるの?」
「ぬ〜ん、俺は暇なときは実験してるぞー!書記は何してるんだ?」
「私は錫也に作って貰ったご飯を食べたり、宿題やったり……あ、図書館で借りて本を読むこともあるよ!」
「ふ〜ん、書記は多忙だなぁ」
「そうかな?そうかも。…翼君も実験で忙しい?」
「実験、忙しいけどすっごく楽しい!!実験してると、じーちゃんといたとき思い出すっ!!」
「そっか……翼君、おじいさん大好きなんだね!!……やっぱり忙しいよね……」
「ぬ?書記は何か俺に用があったのか?」
「ううん、用があった訳じゃないけど……一緒に屋上に天体観測に行きたいなって思ってただけだよ。」
「書記と、か??……行きたい!!俺行くぞっ、書記となら一緒に行く!!」
「え、でも翼君、実験で忙しいんじゃ……?」
「いーのっ!!書記、ほら行くぞっ!!」
「う、うん…あっ、ちょっ、翼君っ、そんな引っ張らなくても、ちゃんとついて行くよっ!!」
「ぬはは〜!書記、早く早くぅー!!」
「う、うん!!」

繋がれた右手が熱くて。
あぁ、好きだなって、なんだか変に実感した。

☆☆☆

バタン。

屋上庭園のドアを開けると、そこには満天の星空。
自然に隣同士でベンチに座って。

「書記ぃ〜、星がほんとにきれいだぞぉ!!」
「わあ、夜空が星でいっぱいだね!!…あ、あそこ!!北斗七星、見える?」
「ぬ?どこだぁ〜??」
「ほら、あの上……翼君、手貸して?」
「ぬぬぬ???」

恥ずかしさを隠そうと、少し強引に翼君の手を取って、空に向ける。

「ほら、えっと……ここから繋いで、この星と、これと、これと、……ほら!!」
「ぬわわわ!!書記、分かりやすいぞっ!!」
「良かった!!…あ、ほら、あそこにあるの、冬の大三角形!!」
「ぬわぁ〜!ほんとだ、すごいぞぉー!!」

そろそろ良いかな?

空に手を伸ばして掴んで、星1つ。
と、一緒に、

「ん……ほらっ!!……はい、翼君にプレゼント!!」

──今日私が、翼君と天体観測を一緒にしたかった理由。

「ぬぬぬ??なんだ、これ??」
「これ、翼君が前にくれた、星と一緒に……。毛糸の帽子だよ。……あったかい?」
「ぬはは、あったかいぞぉー…なら書記はこっちな!!」

ぼすっ。

抱き締められて、体温急上昇。
もう、だから反則だって言ってるのに。

「わっ!!翼君っ……!!は、恥ずかしいよっ……。」
「ぬははは〜書記、顔が真っ赤だぞ!!ぷにぷにだぁ〜!!」

頬をつつかれて、
絶対火照ってる頬が、更に熱を持って。

「翼君のせいだよっ…!!……あ、ほら、寒くなってきたし…帰ろ?」

私がどれだけ、熱くなるほど幸せなのか、知ってて知らないふりしてるみたいに。

「大丈夫だ!!書記が寒くなったら、俺があたためてやるぅ〜!」
「うぅ……。じゃあちょっとだけ、あとちょっとだけ、一緒にいさせて?」
「書記は可愛いなぁ〜」

頭を撫でられるのが、
なんだか少し悔しくて、

「翼君も可愛いよ?ほら、こっち来て。」

すごく幸せ。

「ぬぬ〜、俺は可愛くないぞ!!書記ぃ、子供扱いするなぁ〜!!」
「あっ、もう……離れないでよ…!!」
「うぬぬぅ〜、書記がいけないんだぞ!!」
「ごめんね、翼君。でも……行かないで。」

ぎゅーっ。

翼君を、抱き締めて、呟く。

「…………大好きだよ。」
「っ!!…俺も月子が大大大大好きだ!!」
「ありがと〃〃…じゃ、翼君、手貸して?」
「ぬぬ??…今度は俺から手つなぐな!!」
「あぁっ、もう……翼君っ…!!」

私が取りたかったよ、その手。
そんな気持ちを隠すように、精一杯強がり。

「ほら、帰るよっ〃〃!!」
「うん、月子!!」

(私、ずっと、翼君の隣で……。)
(これからもこの手を離さずに君とずっと……。)

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