穏やかな朝の空気。
私にはこの暖かい場所を
愛してしまった。


「おい」



「おい、起きんと撃つぞ」

「…それは勘弁してくれい」

こいつはいつも、寝ているのか起きているのかわからない。
それもきっと、わざとなのだろうけれど。


「いい加減おんしの仕事はおんしでやってくれんと困る」

「あっはっは、すまんすまん」

当たり前の風景は
私達にとって非日常だったりする。

こいつはまた明日になれば
ここを離れて 知らぬ女の元へ行くのだろう


「陸奥」

「ん?」

「好きじゃ」

「…早く、起き」


静かな虫の声を浴びて私は
絶望も期待もせず
ただ私は






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