第一期番外編小説

□初詣
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これは今から数年前のお話。
まだ俺が小学四年生の時だ・・・あいつに出会ったのは。


今日は一月一日、元日だ。
飼い猫のキルヒホッフを連れ初詣に来ていた。
お母さんから貰ったお小遣いで亀取りをした。
名を諭吉と付けた。

お参りも忘れずに・・・・。
五円玉を賽銭箱に投げ入れ一息つくと僕は参拝者たちを尻目に後を引き返していく。

そんな時だった、さっきまでお利口だったキルヒホッフが飛び上がり雑木林に飛び込んだ!
ビックリして諭吉を投げ飛ばしてしまった。
ちょうど近くの池に落ちたのを確認し僕はキルヒホッフが入っていった雑木林の中に足を踏み入れたのだった・・・。


雑木林の中は賑わう境内と裏腹にし〜んと静まり返っていた・・・。

にゅぁ〜

時々聞こえてくる鳴き声をたよりにどんどん奥へ奥へ・・・森の中を進んでいった。



バキッ・・・!!
突然足場が崩れて、そのまま僕はコケテしまった。
ひねったのか足が痛くて動かない。
悠「いっ・・・・ひっぐぅ・・」
べそをかきながら痛む足を手で押さえる、けど痛みは治まらなくて・・・しまいに僕は泣き出してしまった。



静かな森の中に僕の泣き声だけが響く。



悠「く・・・ぅ・・・わぁぁぁ・・・ん?」



そんな時だ・・・嘘みたいに足の痛みがなくなったのだ。
悠「何で・・・?」
驚いて周りを見回すといつの間に現れたのか・・・、泥まみれの少女と目があった。

その少女は僕を睨み言った。
破「バカっ!あんたのせいで貴重なパセラン使っちゃったじゃん!!」
悠「ぱ・・せ・?」
聞いたことない言葉をリピートすればさらに少女は怒ったのかカバンから小さな瓶を取出し僕に突き出した。

破「これよっ!」
瓶の中には白いふわふわした埃のようなものが二つ浮いていた・・・。
悠「可愛い・・・」
破「これは、ケセランパセランって言ってお願い事を叶えてくれるの!」
そういうと瓶から一つ取り出して悠良に差し出す。

悠「もしかして・・・君がこれで僕の足を直してくれたの?」

僕が尋ねれば、照れてるのか頬を染めうんうんと頷く。

破「お願いをするとケセランパセランは消えちゃうの。

せっかく三匹見つけたのに・・・あんたのせいだからね!!」

悠「ごめんなさい・・・・」
破「ふんっ!もういいよ!白粉食わせたら増えるから、さぁもう帰んな!」
少女はそれだけ言うと再び森の中へ入っていこうとする。

悠「待って!」
その背中を引き留める。
ゆっくりと振り返るその少女に・・・
悠「君の名前っ・・・!教えて・・・」
破「・・・・」

少女は間を開けてから・・・・。
破「破月・・・!」
悠「破・・・・。ありがとう破月!!」



―――――――――――――――――――――



がばっ!!


悠「ありがとっ!!」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

悠「あれ?」


いつの間にか俺は教室にいて・・・先生が睨んでる。

沈黙を破りクラスメートが笑いの嵐を巻き起こした。
そこで気づく。
今のが夢であることを・・・自分は居眠りをしていたということを・・・・・。

直「何言ってんだよ・・・ぷぷぷっ」

破「どんな夢見てんのよ・・・ケラケラケラ」

そのあと僕は家に帰るまでの間ずーっと直樹と月神におちょくられていた。




家に着くとキルヒホッフと母さんが出迎えてくれた。
自室に行き制服の上着を脱ぐ。
悠「キルヒホッフ・・・今日ね変な夢見たんだ・・・」


カバンを机の上に置く。
悠良はふと机の隅に目をやる。
目をやったものに優しく微笑みかける。

悠「いい天気だね・・・よし!キルヒホッフ、散歩に行こう!」

机の上には白粉の入った空の瓶が置いてあった。

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