rally game.01

□Geburtstagsgeschenk
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Geburtstagsgeschenk = 誕生日プレゼント

「それじゃ」

「おぅ」

「朝練遅れずにね?」



駅のホームにて、伊月は手を挙げて1人
日向とリコとは反対方面の階段へと下りていった


彼の後ろ姿が見えなくなってから、よし。と日向は声を上げて踵を返し歩き出す

それについていくように、リコもまた歩みを進めた



「またこんな時間か…」

「練習があるんだから仕方ないでしょ?何か用でもあったの?」

「いや、あんま遅くなると危ねーだろが…」

「…?」



階段を下りていき、駅から出てみれば辺りは真っ暗で
空には月がポツンと浮かんでいる


2月、つまり真冬である今は
日が落ちるのが早いのはもちろん、気温も日とともにグンと落ち

吐く息は空とは対象で真っ白だ



家の方向が同じ2人は揃って帰路に立つ


部活のことをポツリポツリと話したり、他愛もないことをダラダラと話しながら歩く中

日向は再び腕時計を見て時刻を確認した



「…………………」

「だから、何か用があるなら早く帰ればいいんでしょ?」

「いや、別に用なんてねーって」

「じゃあ何でそんなに時間ばっかり気にするのよ…こっちが焦るわよ」

「…………」



ジリジリと言い迫ってみるも、日向は黙りを決め込んで
時間を気にする理由を一切言おうとはしない


しばらく粘っていたリコもそろそろ観念したのか
ハァー…とため息を吐いて空を仰いでみた

冬の澄んだ空気は点々と浮く星達の光をこちらへ目視させてくれる



その1つ1つを数えていると、突然ピタリと何かが頬に当たった



「ひぁっ!」

「何つー声出してんだよ……」

「き、急に何っ……」



何するのよ、という言葉は視界に入った飲料によってストップがかけられた


日向の持つそれは缶の紅茶で、もちろん温かい



「……どうしたの?それ」

「誕生日祝い」

「…へ?」

「これくらいしか出来なくて悪かったな」



コツン、と缶が頭に当てられて

ソッとそれを受け取れば、何事も無かったかのように日向は再び歩き出した


冷たい手にじんわりと伝わるその温度が、段々とまた違う“温もり”を感じさせる



「ひ、日向君…?」

「今年はそれで勘弁してくれよー」

「え…ちょ、待っ……」



呼び止めようとしても、何かを言いたくても

決して日向が振り向くことはなく、ただただ先を急ぐばかり


先程までチラチラと見ていたその腕時計の針の横には

“2月5日”

という文字が表示されていた





紙の無い
プレゼント








「ただいまー」

「リコたんの誕生日まで帰りが遅いなんてパパ聞いてないぞ!」

「部活だったんだから仕方ないじゃない」

「ん?…それは?」

「……………、内緒」


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Herzlichen Glückwunsch zum Geburtstag!
(Happybirthday!)
璃猫へのプレゼントとしまして…順リコ初書きで申し訳ない…;

2012/01/18


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