rally game.03

□まばたきすら忘れた
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劉夢




留学生とかそんな周りとは少し違う人を好奇心とかは初めて目に入れたときそんな目で見るのは仕方ないと思う。だが、彼の場合は否応無しにそのような目で見られるのは仕方ないのでは。


「何アル、何か間違ってたアルか」

『いや、間違ってないよ、これで合ってる』


めちゃくちゃでかい男がアル口調だと視線が集まるのは仕方ないことだと思う。二次元のチャイナっ子がアル口調は可愛いと思うが二次元じゃなくて三次元でその口調はある意味アイタタタ!痛い、痛いよこの子!病院逃げて超逃げて!くらい似合わないと思う。
何故周りは突っ込まないのか、本当に何故だ。最大の謎だ。別に私がそこまで気にする事では無いということは分かっている。だけどそう思わずにはいられないのだ。

一応言っておくが私は劉くんの事は好きではない。いや、嫌いという訳では無くてだな、恋愛感情という意味の好きでは無いのだ。多分。
私はただ彼に頼まれて図書館でテスト勉強を手伝っているところだ。私は教える程の頭があるのか?って?学年一位ナメんなよ。
ステンドグラスから入った光でカラフルに照らされたここは幻想的で好きだ。

また、問題を解きはじめる彼に目を向けてみる。彼はバスケでこちらに来たらしいが、勉強も出来てる方だと思う。そういえば氷室くんも結構勉強は出来ていたよね。流石帰国子女。


『あ、ここ違う。ここの公式はこれじゃなくて』

「………」

『劉くん?』

「…近いアル」


は?と顔を上げるとめちゃくちゃ近くに彼の顔があって思い切りのけ反った。転ばなかったのが奇跡だ。
真っ赤に火照った顔を落ち着かせるために少し顔を手で仰ぎながら彼を見ると彼も顔が真っ赤だった。
私の考えていた謎はそのせいでふっとんでしまったらしくアル口調には違和感がなくなっていた。


ステンドグラスのマリア様は心なしか微笑んでいる様に見えた。


20120426

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