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□その3 殺戮龍爆誕
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→魔王について(軽い説明)。




とある昼下がり。

魔王は暇だったので、
びす子の部屋にいた。

ともちゃんは仕事に行っているため、
魔王はびす子に絡んでいた。

「びす子〜、使っていいモニターある〜??」

「ない」

びす子の部屋のSFのセットみたいな
巨大なモニターの群れには、
世界中に散らばるびす子チャイルドの
送って来る勇者の画像が、
何分割にもされて映っている。

最も大きなモニターには、
今びす子がハマッている
海外ドラマが流れている。

「わたしはどこでPS3をやればいいの

「帰れ」

素っ気ないびす子に
魔王は拗ねながら部屋を見回す。

魔王は漫画やら食玩やらお菓子やらの
散乱する机の上き、ヘンテコな物が
置いてあるのに気づいた。

卵みたいだ。

「なにこれ」

言うや、魔王はヘンテコな卵を
持ち上げる。

大きさといい重さといい、
ちょうどキャベツくらいだ。

「あ〜、それね。
昔まおさんがくれたの。
なんの卵なんだかわからないけど」

「おねぃちゃんが?」

まおとは、魔王の姉である。

元来は魔王軍の特殊部隊長で、
びす子はまおが拾ってきて
まおの部隊で雑務や事務をこなしているうち、
今に至っている。

「まーさぁ、それ、いる??」

「え??いいの??」

卵をかざして魔王がキラキラと
目を輝かせた。

ドラマが山場に差し掛かっているため、
びす子はモニターから
全く目を離さずにこたえる。

「まおさんがなら、まーが持ってる方が
喜ぶと思うしね」

びす子が珍しくまともなことを言った。

「へ〜。
やった、も〜らいっ

魔王は卵を抱えてくるくる周りだした。

もう自分の世界に入ってしまった。

余談だが、姉妹でも、
魔王とまおは、全く似ていない。

魔王はlevel1だが、
まおは剣術や体術では右に出るものはなく、
加えて強力な魔法を操る強者だった。

魔族最強の呼び声も高く、
惨殺魔と異名されているくらいだ。

そんなこんなで、
魔王は卵を手に入れた。
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