文章
□その2 逃亡魔王
2ページ/18ページ
そんなこんなで魔王が歩いてると
「見付けたああぁあぁッ!!!」
女学生しかいない通りで男の声が響いた。
魔王+女子生徒は、一斉にそちらを見た。
そこには女子生徒に紛れて
勇者のゆーいちと、その仲間のまほがいた。
ゆーいちは黒髪の没個性的な
どこにでもいそうな勇者で、
まほはいかにも魔法使いという
白い尖んがり帽子をかぶり、
目元を覆うくらいに前髪を伸ばし
うしゃしゃ、と笑った口元が
印象的な魔道士だ。
二人とも、魔王と同じくらいの
年頃の少年であり、
何度も魔王を倒しに来ている
常連さんである。
「キャーーー!!!」
魔王は悲鳴を上げる。
時折フィーバーしてる女子の放つ
ハウリングみたいなアレだ。
回りにいる奴は、うっせえなコイツ、
と、顔をしかめたくなるアレだ。
「ゆーいち、かえろーぜ。
おれ、女苦手ぇ」
まほは気分の乗らない様子。
しかし、ゆーいちは女子に囲まれて
大分テンションが上がっている。
「はっはっはっ!!
魔王!!ここにはツノ女も
でけぇツノ男もいないぜ!!!」