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□その2 逃亡魔王
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残念ながらゆーいちは、
それほどレベルの高い勇者ではないので
ぼっすんやともちゃんには敵わない。
しかし、もっと残念なことに
魔王はlevel1だ。
「ぃやああぁあぁ!!!」
魔王は、ハウリングボイスを
放ちつつ逃げ出した。
バンバン女子生徒に接触しつつ
魔王は人の流れを逆走する。
「にがすかコラァ!!」
ゆーいちも魔王を追って走り出す。
まほは気分が乗らないらしく、
ゆーいちの後をゆっくりとついて来る。
「あ、ごめんね〜。
通してね〜、ありがとう〜」
意外とフェミニストだ。
女子生徒もまほが礼儀正しいからか
すんなりと道を空けてくれる。
逃げようとするが、魔王よりも
当然ながら、ゆーいちの方が足が速いので
距離が縮まってくる。
後一歩で魔王に手が届くというところで
ゆーいちの周りできゃあ、という
悲鳴が上がった。