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□その3 殺戮龍爆誕
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王座の上には卵があり、卵は小さなヒビが入っている。

卵の前には、魔王、ともちゃん、びす子、という、
普通にしていればただのなかよし三人組というメンバーがいる。

小さなヒビは、だんだん広がっていき、
パキッ、という音とともに、卵の殻が、真っ二つに割れた。

「出た!!」

「何!?」

「生きてる!?」

三人の興奮はピークに達し、大したことない内容を
大きな声で叫び始める。

三人は、興奮と緊張のなか、生まれたばかりのそれを見た。

それは、体中を硬いウロコで覆われた、
猫くらいの大きさの龍だった。

「ドラゴンじゃん!!」

びす子が生まれたての龍を指でつつく。

「ドラゴンだね〜。
まだ幼生だけどね」

ともちゃんは、じぃっと、龍を観察している。

魔王も、びす子と同じ様に龍をツンツンとつつきながら、
口元に触った。

「お〜、歯もはえそろってる〜。」

とか言いつつ、指をかまれて出血。

しかも、思ったより傷が深い。

その時、あれ、こいつ、思ったより凶暴なんじゃね??

と、疑問が生まれたが、なかったことにした。



生まれた龍は、魔王によって、カプチーノ(カプちゃん)
と名付けられ、その日一日、ものすっごく可愛がられた。

カプちゃんも、一日にして魔王に懐き、
食事も一緒にして、お風呂も一緒に入った。

当然、夜も一緒に寝たのだが………

「あれっ……

朝になった魔王は、目を覚ましてベットの上を見まわした。

余談だが、魔王のベットは天蓋つきである。

上流階級の象徴なので、魔王もそれに倣った。

布団をひっくり返し、ベットの下、天蓋の上を捜すが、
カプちゃんがいない。

「どうして??えぇぇっ!?」

魔王は広々とした部屋の中を見回した。

魔王の部屋は、お手伝いが清掃するので、比較的綺麗だ。

カプちゃんの隠れるような場所はない。

「なんで

と、振り返った魔王はかたまった。

部屋のドアが開いている。

………。

「しまったぁぁぁぁあああぁぁあ

リスや小鳥を逃がした時の、典型的パターンだった。
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