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□その4 惨殺魔の帰還。
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「う〜ん…これ、イマイチだねぇ」

「季節限定にするほどではないねぇ」

魔王とともちゃんは、コンビニの新商品(主に菓子類)を
山ほど買い込んで、ガールズトークをしていた。

「次、これ開けてみようか」

「うん」

やたらキャピキャピしている、
乙女真っ盛りの二人を傍目にぼっすんは、
筋トレをしていた。

ある意味普通の日常だった。

「うわっ、臭っ、汗くさっ、甘っ!!!」

開口一番に暴言を吐きながら、
びす子がびす子チャイルドをともなって
魔王の間に入ってきた。

びす子が部屋から出てきたのは、
五日ぶりくらいだ。

びす子は瞳孔が全開なのをのぞけば、
普通の女の子だが、ヘビー級の引きこもりだ。

「びす子もたべる〜?」

魔王は新しい商品の箱を開けながら、
首を捻る。

「いらね。
なによ、納豆黒蜜味とか。
売る気なくね?」

「なんかいつにも増して毒舌だね〜」

ともちゃんが納豆黒蜜味のチョコをつまみながら、
微笑ましく魔王に耳打ちする。

「機嫌がいいんだねぇ〜。
でも、いいんじゃない?
びす子から毒舌とったら、
変態引きこもりしか残らないよ〜」

「すげぇヘビーなの残るじゃんか」

すかさずびす子がつっこんだ。

たかだかそれだけのことで、
魔王とともちゃんは笑っている。

いわゆる、箸が転がっても可笑しい年頃なのだ。

諸事情あってびす子のことが非常に苦手なぼっすんが会話に入ってきた。

「びす子はなにか用があっきたのか?」

「なぁによ、ぼっすん。
用が無いときちゃだめなの?」

何故か魔王が反論し、

「まあ、用がないと来ないけどね」

と、びす子に裏切られた。

とりあえず、ともちゃんは魔王を慰める。

びす子は空中に浮かぶびす子チャイルドを掴んだ。

「ちょっと気になる映像が…」

とか、ぶつぶつ言いながら、
びす子はびす子チャイルドの操作を始める。

びす子は世界各国の勇者を補足するため、
結構な数のびす子チャイルドを散布している。

「隠し撮り?」

と、ともちゃんが首を傾げる。

「え、エロいの!?」

ぼっすんは、そういうことに興味が湧きはじめるお年頃の魔王をシバいた。

「ううん、仕事系」

びす子がスイッチを押すと、
びす子チャイルドが魔王の間の白い壁に映像を投影しはじめた。
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