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□その6 お見合い狂想曲。
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「とりあえず、いいから」

「私はよくないのよ」

にっこり。

22歳になってから、母はずっとこんな調子だ。

きっと凄く孫が欲しいのだろう。














いるんだよ、孫。



でも、認めたくない。

こんなこと、親に話せる訳がない。


「だからね」


母は、ぼっすんの前にどん、と
見合い写真の山を置いた。

絶句するくらいの量だ。


「な、なにこれ……」

「見合い写真」


にっこり。


で、ですよね〜…


「さ、選ぶがいいわ」

「えっ」


顔が強張る。

ぼっすんは超理想が高い。

自覚もしている。


「いや、でもさ」

「大丈夫よ。
私が厳選した美人ばっかりだから」

「………」


親にばれてる。


「だぁいじょぶよぉ、あんた魔王軍トップでしょ?
ちゃぁんと玉の輿狙ってる子ばっかりだから
すぐに決まるわよ」

「あ、愛がねぇよ!!」

「もう愛だのなんだの言ってる余裕はないのよ」

「なんで!!?」

「もうあなたもトシじゃない」


まだ20代ですが。


つーか、母ちゃん怖い。

まさか親父とも愛のない結婚なのだろうか。


「はっはっはっ」


突然毛玉がダンディーな声で笑い出した。


その笑い声で母の言葉が遮られる。


ナイス毛玉。


ぼっすんは父に感謝したが………

 
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