灰男
□嫌よ嫌よも好きのうち…?
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「そうやって誤解を招くような言い方するからダメなんでしょー。
あたしのコト言われてイヤだったってちゃんと言いなさいっ。」
ごめんね、と座り込んだファインダーに、しゃがんで目線を合わせると申し訳なさげに謝った。
「………チッ…」
バツが悪くなり、舌打ちした神田に、春花はまたしても説教を始める。
とは言っても、春花は小さく、神田と並ぶと妹にしか見えない。
「だーかーらー、そやって舌打ちしないの!!神田、ホラ謝りなさいっ。」
「…………チッ…。
……………………悪ィ。」
心底イヤそうな顔ではあったが、神田に謝られたファインダーは感動を通り越して、明日―いや、今にも嵐が来るのではないかと恐れた。
「オラ、もういいだろ。行くぞ。」
余程悔しいのだろう、神田はムリヤリ春花の腕を引いて食堂を出ていった。
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「ねぇ神田、」
「なんだ」
「アレンって子、いるじゃん?」
未だに春花の腕を引っ張っていたことに気付き、仏頂面のまま離した。
そして、春花の口から出た名前に、顔を歪める。
「……俺の前でモヤシの話をするな。胸クソ悪ィ。」
そんな神田を、春花は下から覗き込んだ。
「神田はそう言うけどさー、『嫌よ嫌よも好きのうち』って言うじゃん?
ってコトは、神田はアレンのコト、好きなの?」
「……はぁ?ンなワケねーだろ。
俺はあいつが本当に嫌いだ。」
眉間のシワが、より深くなる。
「ふーん?ね、じゃあさ、あたしとアレンだったら、どっちがマシ?」
「そんなの春花に決まって……………あ"。」
しまった、という風に口を押さえ、そっぽを向いてしまった神田。
春花はそれを見てにんまりと満足げな笑みを浮かべた。
「えへへへっ♪あたしも神田のコト大好きだよっ!!」
「別に俺は好きとは言ってねェッ!!///」
「嫌よ嫌よも好きのうち、ってねー♪」
(だって私は、)
(そんなキミが好き!!)
(大好きなんだ。)