アイユメ

□Q2
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いやでもほんと顔はいいんだよ。


うらやましいなこのやろう。


「じゃああたし二人のジャマになると悪いから先行くね〜。」


ひらひらと手を振ってあんなは本当に行ってしまった。


こんなところで二人にされても困るんだけどなー。


「美夢サン、とりあえず学校行きましょーよ。」


「あ、うん。」



時間も時間だからね、うん。

ちょっと不本意だけど仕方ないか。



「ねぇ、黄瀬君はモデルなんでしょ?」


無言で歩いてもなんだから、適当に話題を出してみたんだけど、

「そうッスよ。」

「へぇ。すごいね。」


5秒で会話終了。


たった今トーク力がないと知らされました。


「あ、そうだ。
美夢サンは部活とか何に入るか決めてるんスか?」


「んー…あたしは部活ってゆーより、マネージャーをやりたいんだよね。」


「へー。なんでマネジやりたいんスか?
美夢サンってスポーツできそうッスけどね。」


結構驚いたようで、こちらを見つめてくる黄瀬君。


黄瀬君から話しかけてくれると会話が途切れないのか。
少し考えて、理由を話した。


「そうだねー…。
あたしさ、去年までバスケやってたんだけど、膝壊しちゃったんだよね。」


黄瀬君は驚いたような顔をしたけど、黙って聞いてくれてる。


「あ、べつにシリアスな話じゃないよ?
まぁ完治したし、バスケができなくなったワケじゃないけど、なんとなくそれからはバスケやんなくなってさ。
でもやっぱりバスケには関わっていたいかなーって思って。
そんで、選手がいつでもベストな状態でいてほしいから。」


言い切ったあとで、思い出したように付け足した。


「あたしの親ねー、お母さんが整体師で、お父さんがスポーツトレーナーなの。
それであたしにも整体とかならできるからそれで少しでもサポートできたらなーって思ったから。」


最後に、にこ、と笑って結構高い位置にある黄瀬君の顔を見上げた。


……ほんとに背高いな。

5せんちくらいくれ。


「すごいッスね。
俺もバスケ部入ろうと思ってるんスよ。」


………あ、今思い出した。
聞いたことある、名前。


「黄瀬君っ、帝光中出身でしょっ!!
キセキの世代、スポーツ誌でモデルとしても取り上げられてた有名人!!
見ればなんでも模倣できる天才、青峰に憧れてバスケを始め、すぐにレギュラー入りした人!!」



びしぃっと効果音がしそうなほど力強く指差して、それから指を引っ込めた。

人を指差しちゃいけないからね。



「……よく知ってるッスね。
最初は俺の名前も顔も忘れてたくせに。」


若干嫌味を言われたじろぐが、本人の顔は笑っていたので悪意はないと思う。


まぁそれでも嫌味には多少返しておかないとね。


「仕方ないでしょ。
人の顔とか覚えんの苦手なの。
よほどインパクトあれば別だけどね。
インパクトある顔にしてみればー?」



「このまんまで結構インパクトないッスか?
モデルやってるくらいなんスからなかなかだと思うんスけどね。」


「はいはい、そうだね。
黄瀬君はとってもカッコイイですよー。」


軽口叩く余裕はあるみたいだ。

自分のことをなかなかだと言うくらいだから、相当な自信だと思う。



「心がこもってないッスよー。」


「ぷっ、あはははっ!!」


モデルの人とここまで話せるってすごいなあたし。

…まぁ実感わかないだけなんだけどね。


そうこうしてるうちに学校に着いた。



…授業、めんどくさいなぁ………。


そんなことを考えながらも、教室に入って席に着いた。


さて、今日はどんな日になるかな。






(美夢サン、授業、楽しーッスね。)

(いや、そんなつまんなそうな顔で言われてもリアクションに困るんだけど。)

(………あーあ。早く部活見学行きてーッス。)

(部活見学、一緒に行かない?)

(………えぇぇえ!?)

(うるさい。)
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