黒籠
□三つのキセキ
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「うわー…午後になっても人多いですねぇ」
「あぁ、そうだな。………ん、」
「え?あの………?」
キョロキョロと辺りを見回す美夢に、手を伸ばす。
美夢はなんでかわかってねぇみたいだったから、すぐそこにあった美夢の手を掴んだ。
「こういうこと。人多いんだからはぐれたら大変だろ。
黙って繋がれとけ」
「う、あ…はい……」
にしても冷てぇ手だな。
ポケットにでもいれとけばあったかくなるか。
―それから、他愛もないハナシをして。
二時間ほどで漸く境内に着いた。
ありきたりだけど、五円玉入れた。
願ったのは。
―――
「先輩、何お願いしましたか?」
「んー……秘密、だな」
「えーっ!!いいじゃないですか!!」
「あ、じゃあ美夢が教えてくれたら俺も教えてやるぜ?」
って言ったら俺の願ったことがすぐに叶っちまうんだけどな。
ま、それもいっか。
「………あたし、は…、
〜〜〜っ、笑わないでくださいよ…っ……///
『笠松先輩に想いが通じますように』、です…っ…!!
か、笠松先輩も教えてください」
それがどういうイミか、なんて考えるまえに身体が動いた。
誰かが見てるだとか、そんなこともどうだっていい。
ただ俺と同じことを願っていたことがひたすら嬉しくて。
「あの、先輩……?///
人が、見てますよ………?」
「いいよそんなの。見せとけ」
焦る美夢の耳元で。
聞いたら彼女がもしかしたら泣いてしまうんじゃないだろうか、と思いながら囁いた。
「――――……」
「う、そ……」
ほら。
案の定、彼女は泣いてしまった。
そんな美夢の額にキスを落として。
もう一度、ぎゅっと抱きしめた。
願ったのは。
(キミに想いが届くように。)
(小さな願いが起こした)
(おおきなキセキ)