脱色

□屋上物語。
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-カチャ


走ったせいで少し乱れた息を整えて。

ゆっくりと扉を開けた。



「………先輩…、こんなところで無防備に寝るなよ……」


襲われるぞアンタ。
それでなくてもかわいいのに。

こんな風に寝てたらいつか必ず襲われるからな。



気持ちよさげに眠る先輩。
そんなかわいい寝顔見せられて、健全な高校生男子が我慢できると思ってんのかこの人は。


それでなくても先輩はいつもくっついてくるからイロイロ我慢してんのによ。
「……アンタが寝てるから悪いんだかんな」


理由をつけ、さりげなく自分を正当化させながら、吸い込まれるように先輩に口づけた。



―触れるだけの、キス。


どうか、起きないでくれ。

なんて、思った。
だけど。


「ん……一、護…?」


「っわ、///」



「ほんとに来たんだね。
いーこいーこ。
さ、一護も一緒に寝よ。

今日は天気がいいからね、お昼寝すると気持ちいいよ」



ふわりと微笑む先輩はやっぱりかわいくて。


悔しいけど、俺はこの人に振り回されっぱなしだ。



…アンタはそのつもりじゃなくても、さ。
俺はアンタに悩まされてんだよ。
「どうしたの?一護。
あ、なに?あたしにみとれちゃったかな?」



「あぁ、そうみてェだ。
俺、アンタのこと好きだから、さ」


不意打ち。
さて、どんなリアクション返してくるかな。

いつも俺を振り回してくれる仕返しだ。


「あたしも一護のコト、好きだよ」



「!!///」


「えへ、一護カオ真っ赤だよ」


「……やっぱアンタには勝てねぇよ」


仕方ねぇから、今だけは負けといてやるよ。



でもいつか、絶対アンタのこと、負かしてみせるからな。










(惚れた者負け)

(恋なんて)

(そんなモンだろ?)
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