灰男
□さくらんぼ
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こんにちは。
エクソシストの春花です。
えーっと、
あたし今、
ラビの部屋の前にいまーす。
え?
なんでかって?
今にわかるよ。
-コンコン
軽く扉をノックすれば、
部屋の中から、
あの人の声。
「んー?誰さー?」
「あ、春花だよー」
そう答えれば、カチャリと開いた扉。
あ、今日バンダナしてない。
こっちのが好きかも。
…ってそうじゃなくて。
「あのね、ジェリーさんからさくらんぼ貰ったの!!
それでね、ラビと一緒に食べようと思って」
笑顔でそれを見せれば、
ラビも笑って、
「そっか。それはよかったさね。ま、とりあえず部屋、入るさ」
「うん」
……………とは言ったものの、
「どこに座ればいいの…?」
書類やら文献やらが散らばっていて、正直足の踏み場もありません。
「こっちに座ればいいさ」
ラビがさしたのはベッド。
…………まぁいっか。
なるべく床に落ちてる物は踏まないようにして、ラビの横に座った。
そして、さくらんぼを二人の間に置く。
あたしが持ってきたのに、ラビに先に食べられたらなんか悔しいので、先に食べようと、一つ、手に取った。
それなのに――
「もーらいっ♪」
「!! あああっ!!」
その手をラビに掴まれ、無理矢理ラビのほうに持っていかれた。
あたしの食べようとしていたさくらんぼは、
ラビの口の中。
なかなかのダメージを受けたあたしは、がくーんと俯いた。
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