灰男

□嫌よ嫌よも好きのうち…?
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ある昼下がり。

「だーっ!!うぜぇっ!!ついてくんな!!」

今日もまた、にぎやかな声が聞こえてきます。

「えーっ、なんでようっ!一緒にご飯食べようよー!!
今日はねぇっ、日本のお茶を仕入れてきてあげたんだよ!?」


神田大好き少女、春花。

この少女はいつも神田を追っかけ回しているのだ。

まぁ、神田もまんざらでもないご様子ですがね。

「オイ管理人、うっせーぞ。
デタラメ書いてると切るぞ。」

管)あーはいはい。
ごめんごめん。
そんな照れなくてもいいじゃんかよー。


「ねー神田、一緒にご飯食べよ?」


上目遣いで見つめられれば、断れない神田。

しぶしぶではあるが、漸く了承した。


「……ったく…」

「あ、今日はざるそばなんだ。
じゃああたしは……天そばにしよう!!」

嬉しそうに神田の向かいに座り、春花はそばを食べ始める。

その後ろで、ファインダー達が話をしているのが、神田の目に止まった。


「…やっぱ春花ちゃんはかわいいよなー。」

「あぁ、なんであんな神田にひっついてんのかわかんねーぜ。」

「でも俺はリナリーちゃん派だな。」


本人に聞こえていないと思っているのか、声はだんだんと大きくなっていく。

神田のイライラは最高潮に達しようとしていた。


「(あー…うっぜぇ………。)」

それでも、まだ食事中なので我慢してみる。

―――が、

「なぁ、今度春花ちゃんに話しかけよーぜ。
前話したヤツがよ、めちゃくちゃいい子だって…」

この辺りが限界だったようだ。

神田は六幻を引っつかみ、ファインダーの元へずかずかと歩み寄る。


「…おい、テメーらさっきからうるせぇんだよ。
静かにメシも食えねーだろうが。
はっ、それともそうやって固まってなきゃなんもできねーのか?」


ファインダーの胸倉を掴み、ギリギリと締め上げる。

言い返そうにも、息ができず、言葉にならない。


いよいよ意識を手放そうとしたとき――…

「神田っ!!ダメだよ!!」

神田の腕に、春花がしがみついた。





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