灰男

□俺だけを見て
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「ねぇデビット、なんでティキはあんなに馬鹿なの?

見た目は間違いなくノアの中で一番いいよね?」



「あ?知るかよ」


アイツが馬鹿な理由なんて俺が知るワケねぇだろうが。


「じゃあさ、ティキってなんで人間好きなんだろ」



「知るか。

っつーか俺らはノアだけどお前はフツーの人間だろ。
お前のが人間の良さ分かるだろーが」



人間なんて俺はキライだ。

…春花を除いて、だが。


「んー、じゃあティキはなんでフツーに池の鯉とか食べれるの?
鯉を生で食べるなんてフツーむりだよね」


「…………雑食?」



いや別に俺だって食えないことはないけど…


つーかさぁ、



「あとさ、なんでティk「だーっっっ!!俺にアイツのことを聞くなっつの!!」」


なんで俺にティキのことを聞くんだよ。

俺は、お前の口から他の男の名前なんて聞きたくねぇのに。


それが例えジャスデロの名前でもイヤだ。



「アイツが馬鹿な理由も人間好きな理由も、鯉を生で食う理由もっ!

俺が知るワケねーだろっっ!!
だいたいなぁ、なんでわざわざ好きなオンナの口から他の男の名前を聞かなきゃ「好きなオンナ?」――!!」



あ、やべ。
言っちまった。

「デビットまさか…」


「…あんだよ」



これはさすがに気付いたよな……?


「ロードのこと好きなの?」


「………はぁ?」



………やっぱダメだコイツ。
鈍感すぎる。

なんで俺があんなクソガキを好きにならなきゃなんねーんだよ。


つーか今のハナシのどこにアイツが出てくんだ。



「……あのなぁ、俺が好きなのは、お前だボケ!!

分かれよ!!」



「………………ウソ、」


なんだよそのカオ。
そんなにイヤなのか?



密かにショック。

なんて、そんなことを思っていたら、



「やば、どうしよう。

なんかすっごい嬉しいんだけど。

ぇ、それほんとなの?」



「ったりめーだろ。

冗談でこんなこと言うかよバカ」


「……うわぉ」



……これは期待して、も、いいのか…?

春花は多分、ティキよりも馬鹿だけど、これなら伝わっただろうし。



しかもこのリアクション。

期待しねー方がおかしいだろ?



「…あたしもね?デビットのこと、好きだよ?」


デビットも同じ気持ちなんだよね?

と聞いてくる春花がかわいくて。




つい抱きしめちまった。


「あ、の…デビット……///


苦しいんだけど………」



「うるせぇ黙れ。

嬉しいんだから仕方ねぇだろ」


「あたしもすごく、嬉しいよ」



…そんな顔で、んなかわいいコト言われたら、抑え効かなくなる。


「へ〜ぇ、デビットって春花のこと好きだったんだぁ」


「きゃあっ、びびびびっくりしたっ!!

ろ、ロードいつからいたの!?」


いきなり現れたのはロード。
マジこいつ、いつからいた?


つか、今の見られて……



「え〜?

『ねぇデビット、なんでティキはあんなに馬鹿なの?』
ってあたりからいたよぉ〜」



!!
最初からいたのかよ!!

し、知らなかった……



「ヒッ、デビットよかったね!
やっと春花とくっついた!!」
そんでお前もいつからいたぁっ!!

ジャスデロがいたら気付くハズだろ?




「ヒッ、デロも最初からいたよ!」


最初からか!!
…薄々分かってはいたけど。



「もう、ロードもジャスデロもいたなら言いなさいよ。


恥ずかしいでしょ」


「だぁってぇ、春花がいたから声かけようとしたらぁ、デビットもいたしぃ、見てようかと思ってぇ〜」



「ヒッ、デロもだよ!」



お前はもう黙れ。




でも、まぁ。
コイツらはムカつくけど、今日のところは許してやる。


機嫌、いいからな。












(あ、ねぇデビット)

(あ?)

(一つ、訂正)

(なにがだよ)

(ノアの中で一番カッコイイのはデビットだよ)

(!!///)
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