灰男
□お兄ちゃん
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「リナリィイイッ!!
お兄ちゃんに黙って結婚なんてヒドイじゃないか!!」
「…兄さん……しないわよ…
いい加減起きて」
「うわぁぁあんっ、リナリィイイッ!!」
そんなやりとりをバカらしいと思いつつ。
なんとなく羨ましいと思った。
―――お兄ちゃん、か。
いいよな、お兄ちゃんって響き。
なんかうらやましーなー。
俺にも妹みてーのはいるけど、でも、妹じゃなくて、俺的にはカノジョになってほしいっつーか。
いやでもお兄ちゃんってよんでもらいてーさ。
ってことで。
ジャーン☆
来ちゃいました☆
え?
どこにかって?
それはモチロン……
「春花〜っ、入るさ♪」
かわいいかわいい春花の部屋。
ノックをして、返事もしないうちに入る。
「あ、ラビさん!!
もう、まだ返事してないですよ。
それで?何か用ですか?」
……え、ちょ、まさか春花、
「風呂上がりさ?」
「?そうですけど?
どうかしました?」
「いや、べつに……」
風呂上がりってスゲーな!!
やば、俺理性保てるかな……
いや、保たなきゃ嫌われる…!!
「あのさー、お願いあんだけど」
「?なんですか?」
あー…どうしよ。
言ったらひかれるかな。
いやでも言ってほしい!!
つか呼んでほしい!!
「あの、さ…
『お兄ちゃん、おやすみ』って言ってくんね?
実はリナリーがコムイのことそう呼んでるの見てうらやましくなったつーか……」
「べつにいいですけど………
おやすみのオプションの意味がわからないです」
「いーからいーから」
春花寝るとこだったし、おやすみってなんかエロくね?
なんて春花には言えんけどな。
「……ラビお兄ちゃん、おやすみなさい…///」
「〜〜〜〜〜〜っ!!///」
やっべぇ!!
これ予想以上の破壊力さ!!
うわ、ちょ、りあるに理性保てねぇ!!
風呂上がりで濡れた髪。
シャンプーの甘い匂い。
紅く染まった頬。
潤んだ瞳を少し伏せて。
もう、なにもかもが俺の理性を壊そうとしてんじゃねーのってくらいで。
「〜〜〜〜ごめんっ、」
「え…きゃあっ……」
トンッと軽く押せば、簡単に布団の上に倒れた春花。
嫌われるの承知で春花を組み敷いた。
いや、べつにそーゆーことするんじゃないかんな!?
ただ、ちゃんと瞳を見てハナシをしてーんさ。
「ちょっ、ラビさん、なにして……」
「春花、」
「っはい、」
真剣に名前を呼べば、春花もちゃんと真剣に返してくれる。
やっぱ俺、コイツめっちゃ好き。
「春花はさ、俺のコト、兄貴としてしか見てねぇかもしんねーけど、俺は兄貴で終わる気ねぇから」
「……終わらないでくださいよ」
……………………え?
今のって聞き間違いじゃ、ねぇよな……?
「…あたしだって妹じゃ終わりたくないです……///」
だーっっ、かわいすぎる!!
でもこんな体制でキスとかしたらぜってーとめらんねーもん俺。
だから今は。
春花の唇に指を当てて。
「今日のところはこれでオシマイ。
今日までは兄貴、な?」
(お兄ちゃん、ってあたしも好きかも)
(え、じゃあもう一回呼んでほしーさ)
(おにーちゃん)
((……か、かわいい…!!))