灰男

□至近キョリで
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「春花〜、今ヒマさ?」


「ムリ。帰れ」


ベッドに寝転びながら本を読む春花。

振り向きすらしねぇってちょっとヒデェさ。


「そんなコト言うなよ〜。

ちょっとさ、ハナシしようぜ」



「あたし今本読んでるの。

ジャマ。出ろ」



…春花はつれねぇなぁ。
ま、そんなところもかわいいんだけどさ☆


「なぁ〜、」



春花の隣に寝転がって、本を覗き込む。

…『心理学』て。
ムッズカシー本読んでんなぁ。


日本語で書かれてら。
俺日本語ってあんましトクイじゃないからよくわかんねぇけど。



「心理学ねぇ。
春花そーゆーの好きなんさ?」


-ピクンッ


「っ、ラビに関係ないでしょ。
てゆーか近い。離れろ」



「えー、やだぁ☆」



「………(殺)」


うっわ、怖っ!!
今殺気感じたさ!!

しかも(怒)じゃなくて(殺)だったさ!!
なに、俺殺されんの!?



「だか、ら…近いんだってば…!//」


お?
カオ赤いさ?


「あっれー?春花カオあけーぞ?
どうかしたんさ?」

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!

そこで喋るな!!///」



必死に身体を押しのけようとする春花がかわいくて、余計イジワルしたくなる。


つーか抵抗しても春花の力じゃ全然イミねーけど。



「んー、春花かわいいさ」


うん、好きなコってイジメたくなるよな。

だからわざと耳元で話したりして。


「ひゃっ……///ちょ、やめ…そこで話さないで…っ…///」


予想外なリアクションに驚いた。

俺ぜってぇー殴られるかと思ったもん。



………あれ、涙目?
まさか俺やり過ぎたさ!?


「っ、ふ…なんなのよ…っ……っく……」



「え、ちょ、ごごごめんっ!!

俺、やり過ぎ………」



「…なんでそんなあたしに嫌がらせするのよ……っ

そんなにあたしのことキライ?


毎日毎日……キライなら近付かなきゃいいのに……、あたしがどんな想いでいるか知らないでしょ」


キッ、と睨みあげる春花。
うわ、そのカオやばい。

つか今俺がいるところもやばい。



………って、今春花なんつった?
俺春花のことキライじゃないぞ?
むしろ好きで。



ホラ、好きなコほどイジメたくなるから、それで、


「え、それってもしかして…」



「……なに。

…………あっち行ってよ。
見ないで。あたし今ヒドイ顔してる」


声、震えてる。
俺、泣かしちゃったさ。

イジメすぎたさ。



「ごめんな?

春花、こっち向いて」


「………やだ」



「いいから。

お願いさ。こっち向いて」


コイツも相当意地っ張りさね。
ったく、意地でも向かせてやるさ。



「春花、俺、ハナシがあるんさ。


だから、お願い」



「………………なによ」


-ちゅっ



「!?〜〜〜〜〜なにすんのよっ!!///」


「だからさ、俺、春花のこと好きなんさ。


好きだからイジメたくなるし、キスもしたくなるだろ?」




驚いたように目を見開いて。

でも。


すぐにその大きな瞳から大粒の涙を流した。









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