灰男
□至近キョリで
1ページ/2ページ
「春花〜、今ヒマさ?」
「ムリ。帰れ」
ベッドに寝転びながら本を読む春花。
振り向きすらしねぇってちょっとヒデェさ。
「そんなコト言うなよ〜。
ちょっとさ、ハナシしようぜ」
「あたし今本読んでるの。
ジャマ。出ろ」
…春花はつれねぇなぁ。
ま、そんなところもかわいいんだけどさ☆
「なぁ〜、」
春花の隣に寝転がって、本を覗き込む。
…『心理学』て。
ムッズカシー本読んでんなぁ。
日本語で書かれてら。
俺日本語ってあんましトクイじゃないからよくわかんねぇけど。
「心理学ねぇ。
春花そーゆーの好きなんさ?」
-ピクンッ
「っ、ラビに関係ないでしょ。
てゆーか近い。離れろ」
「えー、やだぁ☆」
「………(殺)」
うっわ、怖っ!!
今殺気感じたさ!!
しかも(怒)じゃなくて(殺)だったさ!!
なに、俺殺されんの!?
「だか、ら…近いんだってば…!//」
お?
カオ赤いさ?
「あっれー?春花カオあけーぞ?
どうかしたんさ?」
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!
そこで喋るな!!///」
必死に身体を押しのけようとする春花がかわいくて、余計イジワルしたくなる。
つーか抵抗しても春花の力じゃ全然イミねーけど。
「んー、春花かわいいさ」
うん、好きなコってイジメたくなるよな。
だからわざと耳元で話したりして。
「ひゃっ……///ちょ、やめ…そこで話さないで…っ…///」
予想外なリアクションに驚いた。
俺ぜってぇー殴られるかと思ったもん。
………あれ、涙目?
まさか俺やり過ぎたさ!?
「っ、ふ…なんなのよ…っ……っく……」
「え、ちょ、ごごごめんっ!!
俺、やり過ぎ………」
「…なんでそんなあたしに嫌がらせするのよ……っ
そんなにあたしのことキライ?
毎日毎日……キライなら近付かなきゃいいのに……、あたしがどんな想いでいるか知らないでしょ」
キッ、と睨みあげる春花。
うわ、そのカオやばい。
つか今俺がいるところもやばい。
………って、今春花なんつった?
俺春花のことキライじゃないぞ?
むしろ好きで。
ホラ、好きなコほどイジメたくなるから、それで、
「え、それってもしかして…」
「……なに。
…………あっち行ってよ。
見ないで。あたし今ヒドイ顔してる」
声、震えてる。
俺、泣かしちゃったさ。
イジメすぎたさ。
「ごめんな?
春花、こっち向いて」
「………やだ」
「いいから。
お願いさ。こっち向いて」
コイツも相当意地っ張りさね。
ったく、意地でも向かせてやるさ。
「春花、俺、ハナシがあるんさ。
だから、お願い」
「………………なによ」
-ちゅっ
「!?〜〜〜〜〜なにすんのよっ!!///」
「だからさ、俺、春花のこと好きなんさ。
好きだからイジメたくなるし、キスもしたくなるだろ?」
驚いたように目を見開いて。
でも。
すぐにその大きな瞳から大粒の涙を流した。
.