灰男
□恋の嵐
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「ラビ先輩ーっ!!」
遠くから。
小さな身体を揺らしながら走ってくるのは、部活の後輩。マネージャー。
背はちっこいけど、結構パワフルさ。
バスケ部のマネジなんて、数ある部活の中でも一、二を争うほどの忙しさなのに。
それでも笑顔で仕事してる春花の姿を見れば、部活中の疲れも吹っ飛ぶし、もっと頑張ろうって思えるようになる。
「お、春花じゃん。どうかしたさ?」
「あぁ、いぇ。
部活のメニューで変更あるらしいのでお知らせです」
「……まさか、一人一人まわって知らせてるとか?」
まさかな……
そんなめんどくせーコトさすがに春花でもしねーだろ。
そこまで頭も悪くないよな?
よくわかんねーけど、なんとなくそんな確信があった。
―にも関わらず。
「よくわかりましたね、ラビ先輩!!ラビ先輩でやっと16人目なんですよー」
春花は笑顔でそう言った。
………!!
前言撤回。
コイツやっぱバカさ。
しかも16人って…あと30人近くいるじゃねぇか。
「あのなー、春花。放送すりゃいいだろ。
わざわざこんなめんどくせーコトする必要ねぇさ」
「あぁ、なるほど!!じゃあ早速放送室に行って来ますね!!」
それじゃあ!!
と去っていく春花。
………嵐のようさね…。
そんな嵐に恋してしまった俺はどうすればいいんだろうな。
すぐにいなくなっちまって、なかなか掴まえらんねーけど。
いつかきっと必ず掴まえてみせるさ!!
(バスケ部のみなさーん)
(あ、春花の声さ!!かーわいい♪)
(今日は顧問の先生がいないので部活なしでーす!!そのかわりロードワークが3倍なんで頑張ってくださーい)
(………え)