灰男

□好きなんだけど、
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「なぁ、春花」



「なに」


「今日もツレないのな」



「ラビなんかに振り撒く愛想はない」


………あぁもう!!
また言っちゃった!!

なんでこう素直になれないかなぁ!!


神田とかアレン君にはフツーに話せてるのに。
ラビにはこんな態度とっちゃって……!!



「たまにはさー、笑ってくれてもいんじゃない?」


「触るな」


「あはは、ひっでぇさ。
俺のコト、そんなにキライ?」


「きら」


い、と言いかけて、その言葉を飲み込む。
危ない危ない。



……好きな人には、ウソでも嫌いなんていいたくないから。

不自然に言葉を切ったあたしの顔を、ラビが覗き込む。


「どした?」



「!!///ち、ちかっ!!ばか、近いよっ!!」


「へ?あ、ごめん」



くっそー……顔のキョリくらいでこんなに取り乱すなんて…。
熱くなった頬を、ごまかすように袖でこすった。


「んー、俺もさ?
そこまで拒否られると悲しいっつーか…」


「……!!――…ちが、くて…」



好きだから、なんてセリフを言える勇気を残念ながらあたしは持ち合わせてない。


だから、俯いて。

こんな自分が嫌いだ。
ほんの少し、「好き」のたった二文字を言える勇気があればいいのに。



「……ま、地道にいくからいいけどさ…」

「え?」



「あ、いや……なんでもねぇさ」


小さく呟かれたラビの声は、あたしに聞こえることなく、消えた。






好きなんだけど、



(素直になれない)

(あたしの恋は)

(いつになったら)

(実るのでしょうか)
 

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