脱色
□浴衣
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「べつにええやん。なぁ愛ちゃん。」
「いやいやいや。だめですよ市丸隊長。てゆーかどこ触ってんですか。」
えっと、どうやって説明すれば
いいのかな。
簡潔にいうと、
襲われかけてます。
市丸隊長に。
なんでこうなったかというと――…
+++
「市丸たいちょー、書類持ってきましたよー。」
「お、愛ちゃんや。
ご苦労さんやね。
書類はイヅルがあとでやるからそこ置いといて。」
九番隊のあたしは、東仙隊長にいわれ、
三番隊に書類を届けにきました。
そこにいたのは市丸隊長だけで、吉良君は
十二番隊に書類を届けに行ってるようです。
十二番隊かぁ。
遠いなぁ…………
ってそうじゃなくて。
今市丸隊長と二人っきりって
ことですか?
え、ちょ、待って待って。
あたし心の準備が。
いや、嬉しいけど、え、でも
好きな人と二人っきりって…
そりゃー嬉しいけど、なんだかなぁ…
「なぁ、愛ちゃん、」
「はいィッ!!」
頭をぐるぐるさせて悩んでいたのに、名前を呼ばれて思考はストップ。
後ろを振り返ると、市丸隊長の顔。
一瞬で頬が熱くなるのを感じた。
「なー、書類はイヅルに任せて甘味処でもいかへん?」
う、嬉しいけど、あとで吉良君がかわいそうだから、
「ダメです行きません。」
なんて。
「えー。こんなんやってらんないわ。まぁ、愛ちゃんが手伝ってくれる言うたら
ボクもやるんやけど。」
そんな風に言われたらやるしかないじゃないですか。
「……少しだけですよー?
あたし今日は東仙隊長に書類届けたら帰っていいって
言われてますし。でもホント少しだけですよ?」
そう言ってみたけど、実際は楽しみで仕方ない。
「おおきに♪」
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