脱色

□吉良君の苦悩
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今日も僕、吉良イヅルの苦悩は続く…………。

…………はぁ。






――――

「隊長ー!隊長どこですかー?仕事溜まってるんですけどー…」


声を張り上げるが、隊長は現れない。

てゆーかほんとどこ行ったんですか隊長!!



「あっ、吉良副隊長おはようございます」


「あぁ、おはよう愛君」


「また朝から隊長探しですか?私さっき6番隊の近くで見かけましたよ。
なんなら私が呼びに行きましょうか?」


………あの人は僕を過労とストレスで殺したいのかっ!!


込み上げてくる怒りをなんとか捩伏せ、笑顔を作る。



愛君に罪はない。


「いや、今すぐにでも判が欲しい書類だからね。僕が行ってくるよ」


「そうですか。じゃあ私吉良副隊長の分の書類やっておきますね」


「……それはありがたいけど愛君も仕事あるだろう?」


「いえ、私の分は昨日終わらせてあります。
定時ギリギリで市丸隊長にも判もらったんで。

だから今日は他の隊士達のを手伝おうかと思ってたんですよ」


「…助かるよ……ありがとう」


愛君はなんていい子なんだ!

…それに比べて隊長は……いや、比べるのはよそう。

比べられるものじゃない。


てゆーか比べちゃいけない。

「?どうかしましたか?吉良副隊長」


「あ、いや、うん。なんでもないよ。
……それじゃ悪いんだけど書類整理頼んでもいいかい?」


「任せてください!半日で終わらせてみせますから!」


コロコロと表情が変わる愛君。
いつでも笑顔だし。


…………かわいいなぁ。
多分隊長も愛君のこういうところが好きなんだろうな。


気が利いて、仕事もできて。
もちろん実力だってある。


まぁ天然っぽいのがタマに傷かなってくらいで。

市丸隊長や三番隊には勿体ないくらいだよ、ホント。




「副隊長ー?市丸隊長いなくなっちゃいますよ?」

「ハッ、そうだった!それじゃあ、よろしくね愛君!」

「了解でーす。いってらっしゃーい!」


………まだ6番隊のところにいればいいんだけど……



吉良は盛大なため息をついて、目撃情報のあった6番隊に向かった。





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