脱色

□屋上物語。
1ページ/2ページ



「なぁ、」


「なに?一護」


「なんで二年の教室来てんスか」


「ん?一護に会いに来たの」



ニコニコ笑いながら俺の真ん前の席に座ってるのは日向先輩。


いや、かわいいけどよ。



「……もうチャイム鳴るぜ?」


「あぁ、いいの。
あたし次はサボるから。
次の時間英語なのよね。
あたし英語のセンセイ嫌いなの。
発音悪いし気持ち悪いし。
だからサボり」


にへ、と顔を綻ばせる彼女は、イタズラっ子のようで。

つーかなんでこの人こんなサボってて成績いいんだ。


-キーンコーンカーンコーン


「…チャイム鳴ったぞ?」


「そうだね。
じゃああたし、行くわ。
あ、屋上にいるからもしサボりたくなったら一護もおいで」

「……行かねぇよ」
「そう?残念。まぁいいや」



じゃあね、と残して先輩は教室から出ていった。


そしてその瞬間、

「コラァ愛ー!!
お前またサボりかぁーっ!!」


生徒指導の教員に見つかり、追いかけられていた。



「今日くらいは勘弁してくださーい!!

明日はちゃんと出ますってー!!」


「今日も出ろバカモンがー!!」


楽しそうに笑いながら、日向先輩は屋上に向かって行った。

…あの生徒指導のオッサンも大変だな。


あの人相手に言葉で説得すんのは難しいと思うぜ?

頭いいだけあって結構イタイとこ点いてくっからな。


……俺らは次、現国、か。
越智サンなら……って何考えてんだ!!

サボりなんてするワケねぇだろ!!
それでなくても去年だって単位ギリギリだったのに今年まで落とすのは…なぁ?


でも、屋上に行きてーと思うのもホントだ。
…だって好きなヤツがおいで、なんて言ってくれたら行きたくなるだろ、フツー。



―とか考えていたら。

「……さき、黒崎ィ!!
何ボーッとしてんだ!!

廊下立ってろ!!」



いつの間にか当てられてたらしい。

あーあ。
廊下に立たされるなんて小学生か、っつの。

つかいつの間に授業始まってたんだろーな。
俺、そんなにボーッとしてた?


……でも、まぁ。
これで日向先輩のところに行く口実もできたか?



廊下に出て、屋上に向かう。
ってホントにあの人屋上にいんのかよ?

これでいなかったら俺スゲー恥ずかしいヤツなんだけど。











.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ