アイユメ
□Q2
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「…………はぁ。」
昨日はなんだったんだ。
いきなり電話はくるしメールはしてくるし……。
まぁほかの女の子達からもきたけど黄瀬君のことばっかだったし。
「美夢っ♪
なーに朝からため息ついてんのー?」
「ひゃうっ!?」
後ろから手を置かれ、振り返るとそこには茶髪美人。
「あんなじゃんっ!もーびっくりさせないでよねー!」
柿崎あんな。
小学校からの付き合い。
大人っぽくてキレイなあんなはいつでもモテモテで、でも気取ってないから好きなんだ。
クラスは離れちゃったけど、仲良しだよ………ってアレ?
昨日、あんなと会ってない。
「昨日はごめんねぇー?
美夢のクラスに行こうと思ったんだけど忘れちゃってさー。
あ、そういえばあの黄瀬君のアドゲットしたんだって?
やるじゃない。」
……会話の内容が変わり過ぎてついていけない。
えっと、まずは、
「うん。」
それしか言えなくて、それだけ言って固まっていると頭をバシッと叩かれた。
「何で一言だけなのよ。」
「あ、いや内容についていけなくて。」
へらっと笑うと、あんなは小さくため息をついた。
「ったく…アンタ普段はあんなに毒舌なのに朝弱いから朝は天然っぽいのよねー。」
なんでため息つかれたんだろう。
あたし毒舌でも天然でもないよ。
思ったことを口に出したら毒舌って言われるんだよね。
「…そうかなー。
あ、黄瀬君のアドは欲しくてもらったんじゃないよ。
昨日携帯落としたのを黄瀬君が拾ってくれて、気づいたらアドレス入ってたの。」
「………それ、ホント!?」
「へっ!?あ、う、うん…」
あんなは驚いたように両目をぱちぱちさせて、しばらく固まっていた。
…そんなことしてもキレイなんだよなぁ……。
「黄瀬君っていったらモデルよ!?
そんな簡単にアドレスなんて教えられる立場じゃないのよ!?
大体ねぇ、昨日も学年の女子ほとんどにアドレス聞かれたって誰にも教えてないんだからね!?
黄瀬君のアドレス知ってるってなったらアンタ大変よー?」
な、長い……。
このセリフを一息で言い切ったあんなはすごいと思う。
「…え、そうなの……?」
「はぁっ!?
当たり前でしょモデルだもの。
聞かれた人全部に教えたらどうなると思ってんの!?」
「……そういやそうだねぇ。
でもあたし、黄瀬君がモデルって知らなかったんだよね。」
なんて呑気に言っていると、
「おはよッス、美夢サン♪」
「っわ、」
耳元で黄瀬君の声。
くそう…あたしが耳弱いの知っててやってるな………。
「んなワケないでしょ。」
「あいた。」
あんなってばそんな強く叩かなくてもいいじゃん。
てゆーか読心術とかやめて欲しいよね。
あたしだってちょっとしできないのに(「できるんかい」とかそーゆーツッコミは聞きませんよ)。
「あ、おはよう黄瀬君(初っ端からちょっとうざい)。」
「昨日なんでいきなり電話切ったんスか!?俺泣きそうだったんスよ!?」
「あーはいはい。
だって黄瀬君いきなり電話してくるから。
驚いただけだよ。」
なんかテンション高いこの人。
いや確かに顔いいし背高いしスタイルいいし顔いいし。
あ、顔いいしって二回言った。
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