アイユメ

□Q3
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「こんにちは!!」


にこやかな挨拶と共に、体育館へ入った。


さすがバスケ部…!!

みんなカッコイイ!!ぇ


黄瀬君と体育館に入ったはずなのに、いつの間にか黄瀬君がいない。
あれ、どこ行った?


てゆーか皆さん、背高いですね。

黄瀬君が見えません。


おかしいなぁ…あたしも結構おっきい声で挨拶したつもりだったんだけど…。


よし、もう一回。

そう思って大きく息を吸ったところで、


「おい。」


「ひゃうっ!」


頭をぽん、と叩かれた。

やっべ、変な声出しちゃったよ。

あー…なんかびっくりした顔だし…。

……ってアレ?


「あ、あのっ、ももももしかして笠松先輩ですか……?」


「ん?あぁ、そうだけど。
なんで知ってんの?」

「だって海常高校の主将ですし。
知らないほうがおかしいですよ?
あっ、私マネージャー志望の榛名美夢って言います。」



よし、言えた。

それにしても笠松先輩ってカッコイイなぁ……
背高いし主将だし。


この海常高校で主将やってるって相当だよね。
笑顔のあたしとは違って、笠松先輩はなにやら気難しい顔。


あたしなんか変なこと言っちゃったかなぁ……



「あのさ、」


「はいっ!」


「なんでマネジやりたいと思ったワケ?
言っとくけど、ただの興味本位とかあの黄瀬が入るからって理由なら、そんなマネジいらねーから。」


わぉ。

そんな風に思われてんのか。


残念ながら違いますけど?

べつにあたし黄瀬君にそこまで興味ないし。


「あたし、両親が整体師とスポーツトレーナーなんですよね。
それで小さい頃から色々見てきたんで整体なら一通りできるし、小・中学でもバスケやってたんでバスケ関係なら大抵のことはできます。
あとはマッサージ、テーピング、スコア、データ収集もできますよ。
それから差し入れなんかも作れちゃいます。」


どうですか?

と最後に聞いたら、どうやら早口過ぎて全部は聞き取れなかったらしい。

さらに気難しい顔になっていた。

こういう時のために、

「私にできること、全部紙に書いてきました。どうぞ。」


全部書いてありました。


「お、おぅ……」

「美夢サン、すごいッスねー!!
先輩達も美夢サンのことかわいいって言ってたッスよ。

いやー、人気者ッスね!!」



「そんなことないよ。
あたしバスケが好きだからバスケに関わってたいだけだし。

ほら、選手のみんなにいつでもベストな状態でいてもらいたいし。
あたしにできることあったらやりたいな、って。」



そこまで聞いて、笠松先輩は体育館から出た。

でもすぐに戻ってきて。
手には何枚かの紙。


体育館にいる部員を集めると、なにやら相談をし始めた。


「ね、先輩達って何やってんの?」

ひまになって黄瀬君に話しかけるんだけど、


「さぁ?
俺にもわかんないッス。」

なんだ、黄瀬君も知らないのか。


二人して体育館の端っこで体育座りをしながらぽつぽつと話をしていた。


するとようやく相談を終えたのか、部員が全員二人の前に集まっていた。



「榛名。」

「はいっ!」


いきなり名前を呼ばれ、立ち上がる。

……みんなほんとにおっきい。


なんか立っても立たなくても目線が変わらない気がする。








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