アイユメ
□Q4
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―くぁあっ
小さなあくびと一緒に、眼鏡を外した。
あ、授業中は眼鏡かけてるんですよ、私。
席は窓際、前から4番目。
4月はいい天気で、暖かい日差しが降り注ぐ。
これで寝るなというほうが酷でしょう。
幸か不幸か、隣は黄瀬君。
ちらりと目をやると、机に突っ伏して寝ている。
……睫毛長い。
寝ててもカッコイイ。
-どき、
……………ん?
なんだ今の。
どき、っていった?
いやいやまっさかぁ。
だってこんな顔だけ(失礼)の人に…ねぇ?
あたしは身長高くて、カッコよくて、スポーツできて、優しい人が好きで……。
………………あれ、なんか黄瀬君結構ってゆーかほとんど全部あてはまってるけど。
いやでもモデルなんてさ、性格悪いよきっと。
「………ふ、」
小さな笑い声が隣から聞こえてきた。
慌てて隣を見ると、少しいじわるそうな、でもどこか優しげな顔で、笑っている黄瀬君。
……くっそー…
カッコイイぞこのやろ。
不覚にもときめいてしまった。
いやだって!!
モデルじゃんこの人。
「む、」
あんな顔で見られたら、ときめくでしょう!!
しかもあたしイケメン好きだしね←ぇ
さらさらと紙に何か書いたかと思ったら、黄瀬君がそれを投げてきた。
『さっきからなに百面相してんの(笑)?』
げ、見られてた。
『そんなヘンな顔してた?』
『顔真っ赤だった。
かわいかった。』
いつもの口調とは違う黄瀬君に、またしてもどきりとしてしまった。
心臓壊す気か。
『からかわないで』
走り書きで、それだけを書いた。
モデルやってて、綺麗な人やかわいい人がいつもそばにいる人にかわいいなんて言われて信じられるか。
それを読んだ黄瀬君が、慌てたような顔でこっちを見てきた。
でも知らないフリ。
すいっと目をそらして空を見る。
-カサ
手元には紙。
黄瀬君か。
さっきの慌てた顔を思い出し、笑いたくなるのをこらえて、しかめっつらで紙を開いた。
『ほんとだって。
そんな怒んないでよ。』
『怒ってないもん。』
本気で怒ってるワケじゃないよ?
あっちがからかうからこっちもおかえししただけだもん。
『じゃあ顔が紅いのは怒ってるせい?』
ばっと自分の顔に手をあてる。
…確かに熱い。
『そうだよ。
めちゃくちゃ怒ってるから。』
それを投げたところでチャイムが鳴った。
最後にもう一枚、隣から投げられた紙には、
『メガネ、似合ってる』
「…………くそ、」
またしても不覚。
不意打ちとかずるい。
あんなカッコイイ人にそんなこと言われたらどきっとしない方がおかしいだろ。
それにほら見ろ。
なんかいっぱい視線浴びてるだろーが。
主に女子。
あたしがイジメられたら絶対こいつのせいだ。
紅くなった顔を隠すようにして教室を出る。
廊下に出ても、みんなより頭一つ分高い黄瀬君は目立つ。
あたしの心臓どうしてくれんだこのやろー。
(あたしが死んだら黄瀬君のせいだ。)
(えぇっ!?)
(うるさい黙れこっち見んな。)
(…………また耳まで真っ赤。)
(違うもん!!)
(かわいいッス。)
(……………!!///)