アイユメ

□Q6
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「いやー今日もいい天気だ!!」

昼休み、人が少なくなった教室で一人伸びをした。


携帯を取り出してメールチェック。

誰からも来てない。
当たり前か。
みんな学校来てるもんね。


そんなことを考えながら、ぼんやり空を見上げた。


その時――


「榛名美夢って子、いるぅー?」


妙に鼻につく、甘ったるい声が教室に響いた。

てゆーか今呼ばれたのってあたしだよね。
あたし何かしたっけ。


ま、行ってみるか。




「あたしが榛名美夢ですけど。先輩方、そんなに集まってどうかしました?」


「………なによ。ちょっとかわいいからって調子のんないでくれる?」


「そうそう。放課後話あるから教室にいてね」


「もし帰ったりしたらヒドイ目見せるから」



あ、これが呼び出しってヤツ?


「べつに調子なんてのってないですけど。
―先輩方が迎えに来てくれるんですね?
あ、でもあたし放課後は部活があるんで手短にお願いしますね」


「……っだから、そういうのが調子のってんのよっ!!」

大きく振りかぶられた手。
右足を引いて、その足に体重をかける。


あたしの頭があった場所に、先輩の手が空振り。



先輩は顔を真っ赤にして、もう一度あたしを叩こうとしたんだけど、ほら、殴られると痛いじゃん?
だからそれも避けた。



「〜〜〜〜っ!!ほっ、放課後ちゃんといてよねっ!!」


「はい、もちろん」


チャイムが鳴り、先輩達はそれぞれの教室に戻る。

いや、ほら。
あたしバスケやってたじゃん?

だからフットワーク軽いの。



軽くため息をつきながら席につくと、何人かの女子に囲まれた。



「ね、榛名さんってすごいね!!」


「え?そう?」


「だ、だってあの人達って下級生にすごい怖がられてるし…」


そうなのか。
でもほんと、手短に終わらせてほしいな。


部活行かなきゃ笠松先輩に怒られるし、みんなのサポートできないじゃん。





―そんなことをぼんやり考えて、午後の授業を受けていた。









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