アイユメ

□Q7
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「おっはよー、美夢!!
ってアンタその顔何!?どうしたのよ!?」



「…………えへ。」


驚いた顔のあんな。
まぁムリもないでしょう。


だってあなたが朝、友達の顔見たらガーゼで1/4覆われてて、しかも手足のところどころに包帯巻いてあったらどうします?


そりゃあ驚きますよね。

うん、あたしも驚く。



「えへ、じゃないっ!!
で、一体どうしたのよ!?」




「……か、階段から落ちまして……」



「…………ウソでしょ。
ホントのこと言いなさい。
ま、大体の想像はつくけどね。

大方、黄瀬君絡みでしょ。」



「違うよ?
ホントに階段から、」


「ホントのこと言わないと怒るよ?」


こっ、怖い!!

あんな、怖いよ!!


今にも胸倉掴まれそうな勢いで。

やっぱりあんなに嘘は通用しないか。


でも今はとりあえず、



「………後で話すよ。
5時限目、抜けれる?

放課後は部活あるから、時間とれないし。」



「ん、おっけ。じゃあ5時限目屋上ね。」


「はいよー」


約束をして、学校に向かう。



また絡まれたらどうしよう。

そしたらまためんどくさいことになるかな。




+++



「おはよッス、美夢サン♪」



「っわ、びっくりしたぁ………あ、おはよう、黄瀬君。」



「………大丈夫ッスか、」


「え?あぁ、コレ?
大丈夫よ。そんな顔しないで。
黄瀬君のせいじゃないってば。」



あたしの顔を見た瞬間、黄瀬君の表情が変わった。

多分、自分のせいだと思ってる。



「………でも、」


「大丈夫だってば。そんな泣きそうな顔しないでよ。
あたしが泣かしたみたいじゃない。」


苦しそうな顔で、あたしの顔を見つめる。

黄瀬君は悪くないのに。


そんな顔、しないで。
あたしが泣きたくなっちゃうよ?



「ほら、教室、行こう?」


「………ん、」



優しく微笑んで、黄瀬君の前を歩き出す。

後ろで黄瀬君がゆっくりと歩くのが分かった。


歩調、合わせてくれてるのかな。



「美夢サン、」


「ん?なーに?」


後ろからかけられた声に、前を見たまま応じる。



その時の声はなんだか力強い気がした。



「次は絶対、守るから。」


「………だからさ、気にしないで、って。
全部黄瀬君のせいなんかじゃないんだから。」



「いや、それじゃ俺が納得できないんス。
何かあったら、ちゃんと言って欲しいッス。」



黄瀬君の。
あまりにも真剣なその表情に。



「………ん、分かった。」



そう言うしかなかった。








(この時はまだ、)

(この話を聞いてる人がいるなんて)

(知らなかったんだ)
 

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