アイユメ

□ちょっと道を逸れてみた
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とある晴れた日の屋上。




「あーヒマだなー……」


多分周りの生徒から見たら不良な俺は、屋上でサボっていた。

あ、ちなみにアレな?
屋上っつってもフツーより高くなってるトコあんじゃん?
そこだよそこ。

俺はそこに寝転がっていた。



「………授業はだりーしなぁ…」


でもここにいるのも楽しいワケじゃない。



はぁ、と一つ小さなため息をついた時。


「美夢ー、早く来なさいよ」


「あ、うん、ゴメン」



聞き覚えのある…っつーか、好きな子……の声がして。

「ぇ、まじっ………っと…やべ…」


声を出しかけ、慌てて口元を押さえる。


あ、ホントに美夢ちゃんもいる。
…相変わらずかわいいなぁ…。
って俺は女子か!!
見つからないように身を低くして、二人の会話をこっそり聞いた。

あっ、盗聴とか、そんなこと言うなよ!?



「それで?最近どうなのよ?その…早瀬なんたらって人は」


「あぁ、早瀬先輩?
…相変わらずだよ。
あれから毎日謝りに来てくれてるし、たまに家まで送ってくれるんだ。
……もういいです、って言っても謝るの。
ホント、あたしはもう気にしてないのに」



「でもそれくらいしてもらんなきゃ!!
あたしの美夢を泣かせた罪は重い!!」


「あはは、なにソレ。あたしいつからあんなのモノになってたの?」



あー、かわいい。
笑うとホントかわいい。

…こうしてみると俺、ホントに最低なコトしちまったよな。
どれだけ謝ってもきっと、足りることはないんだろう。



「……早瀬先輩さ、なんかあたしに負い目感じてるみたいで、なかなかフツーに話せないんだよね。


あたしはもう大丈夫だし、早瀬先輩もすごくいい人なんだ。
だから、できるならちゃんと向き合って話がしたいってゆーか…」


そんな美夢ちゃんのセリフを聞いて、あんなさんがため息をついた。

あ、なんで『さん』をつけるのかって言うと、怖いから。


いやホントあの子怖いよ。
あの初めて会った時の顔が未だに忘れられない。

おー怖っ!!


「……早瀬先輩ね、いつも苦しそうな顔で謝るの。
あたし、そっちのほうが悲しくて」


「………美夢、アンタいい子すぎ。
べつにアンタがそんなこと気にする必要ないでしょ」



「でも、悲しいよ」


「……あー…じゃああたしから言っておく。
もう謝らなくていいから美夢にはフツーに接してあげて、って。
それでも謝るんだったら、『しつこい男は嫌われるよ』って言ってシバく」













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