アイユメ
□Q13
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「おはよッス、美夢サン!」
「あ、おはよー、黄瀬君。
相変わらず笑顔が眩しいね。
あたし朝弱いから朝からその笑顔はちょっと反則かな?」
そんなことないッスよ。
なんて軽く返しながら。
ほんとは美夢サンの今の表情にどきっとしてた。
いやだって。
美夢サンちっちゃいから(ちっちゃいって言うと怒るけど)自然な上目遣いで。
さらにはにかんだように笑って、小首を傾げる。
そんなコトされて落ちない男子はいないと思うッスよ?
それに、美夢サンは計算とかそーゆーのしてないし、できる頭もないと思う。
あ、いや、勉強はできる人ッスけど。
「…なんスか?」
ふと視線を感じ、その方向に目をやる。と。
バチッと音が聞こえてきそうなくらい綺麗に交わった美夢サンとの視線。
一瞬。
一瞬で顔を真っ赤に染め上げる美夢サン。
あ、かわいい。
「顔、真っ赤ッスよ?」
すいっと顔を近付ければ。
「!!な、なんでもない…!!//
ってゆーか黄瀬君、キミは顔がとてもいいことを自覚してちょうだい」
「?なんでッスか?」
「てゆーか顔!!顔近っ!!」
必死に身体を押しのけようとして。
そんなことをしたって、体格差から見て力で敵うワケがないのに。
スッと脚を引いた瞬間、すぐそこにあった石に躓いた美夢サンは、当たり前ながら、後ろに倒れた。
と、思ったら。
自分でも驚くほど素早い動きで美夢サンを支えていて。
そのまま自分のほうに引き寄せた。
「ひゃ……っ…!!///」
「危ないッスよ。全く……」
「ごごごごめん……///あの、手が…腰に……」
「あ、ごめん」
するりと解いた腕。
急いで彼女は後ろに下がった。
なんか傷つくなぁ。
とか、そんなことを思いながら、顔を真っ赤にして学校まで走っていった美夢サンをゆっくりと追いかけた。
(君の体温が)
(腕の中からなくなったことに)
(寂しくなったのは俺だけ?)