アイユメ
□Q16
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―早朝―
まだ7時前だというのに、体育館からはボールをつく音が響いていた。
「っはぁ、はぁっ……」
「―笠松先輩、ムリはダメです。そんなんじゃ試合前に疲れちゃいますよ?」
一人しかいないハズの体育館に、いきなり聞こえてきた声。
驚いて振り向くと、困ったように微笑みながら佇む榛名がいた。
「……なんか、身体動かしたくなってな」
言ってからハタと気付いて、榛名に問い掛けた。
「…そういうお前は、なんでこんな時間に来てるんだよ」
そう尋ねると、榛名は気まずそうに苦笑いして、ボール磨こうと思って、と呟き部室のほうへと走っていった。
どーせ俺と同じで目が覚めちまったんだろ、と思いながらもそれを口に出すことはせずにボールを放る。
スリーポイントラインから放られたそれは、綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれていった。
「っしゃ……」
調子は、良さそうだ。
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