黒籠

□お勉強タイム
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「ねー、先輩、勉強教えてください。」


「…………はぁ?」



「そんなイヤそうな顔しないでくださいよ。
あたしには笠松先輩しかいないんです。」


真面目な顔でそう言ってきた美夢に、当然俺は驚いた。
てゆーか俺じゃなくても驚くだろフツー。



「なんで俺なんだよ。」


「笠松先輩が一番まともそうだからです。
森山先輩はカッコイイけど女の子好きだし、早川先輩はもはや何言ってるかわかりません。
……笠松先輩が一番いいんですよー。」


……そんな上目遣いなんかで見てくんじゃねぇボケ。
危うくオッケーするところだっただろーが。



「…………やっぱり、ダメですか……?」


「うっ………仕方ねーな、教えてやるよ。」


「ホントですかっ!?
ありがとうございますっ!!」


………まぁいまさらだが、俺はコイツが好きだったりする。



なんつーか、小動物っぽいところとか、コロコロ表情変わるとことか………って何言ってんだ。

とにかく、好きな女の頼みなんてそうそう断れねぇだろ?


ほら、すっげー笑顔のコイツ見てるとさ、オッケーして良かったとか思ってる俺がいるわけで。



「じゃあ、明日お願いしていいですか?
明日なら部活ないですし。」


「おぅ。んで場所は?」



「あたしの家でいいですか?」


「…あぁ……………へ?」



え、美夢の家!?

ちょ、いいのか!?



「あ、でも俺美夢の家知らねーぞ。」


「あ………じゃあ今日一緒に帰りましょうよ。
説明しますから。」



「あぁ」

マジかよ。
ついてんな俺。









―二時間後―


「練習終わり!!
各自ストレッチしてから帰れよー!!」


練習を終え、軽くストレッチをしたあと、美夢からオレンジジュースを貰った。

確か前にグリコーゲンが多く含まれていいとかって美夢が話してた。


スポドリは汗と似たような成分だから休憩中に両方を少しずつ飲んでる。





「先輩、じゃあ行きましょ。」


「あぁ」


って俺さっきから「あぁ」ばっかりだな。





―――――誰かが言っていたように、楽しい時間ってのはあっという間で、すぐに美夢の家に着いた。



ガラにもなく、もっと一緒にいてぇとか、早く明日になれとか思っちまったじゃねーか、くそ。








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