黒籠
□二つのキセキ
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「う〜〜っ……どうしよう…」
時は1月1日午後2時。
こんな時間にあたしが何を悩んでいるのかというと。
1.宿題をやるべきか
2.笠松先輩を初詣に誘おうかどうか
3.今日はどうやって過ごそうか
はいっ、どれでしょう!!
正解は………………うん、2番です。
笠松先輩に携帯の番号聞いたのはいいけど、電話なんてかけられないよ!!
通話ボタンを押そうとして、早2時間。
うん、長いよね。
知ってる。
けど、ゆ、指が動いてくれないっ!!
そんな勇気ないもん!!
すっ、すす好きな人を初詣に誘うなんて………
―なんて考えていたら。
〜♪〜♪〜♪
「!!うわわわっ!!///
かっ、笠松先輩!?
あわわ、早く出なきゃっ!
はいっ、美夢ですっ」
『もしもし、俺だけど』
「はいっ、どどどどうしましたっ!?」
『どもりすぎだろ』
喉の奥で低く笑う先輩にドキッとしながら。
『あぁ、でさ。
その…今、ヒマ、か……?』
「!!ヒマですっ!!」
そっか、と呟く笠松先輩。
いつもより低い声。
緊張、してるのかな。
『じゃあ、さ、二人で、初詣、行かねぇ?』
「行きますっ!ぜひ行かせてください!!」
『あー…じゃあ、今2時だろ。
4時にお前ん家行くから』
「はい!準備しときますね!!」
『おう、じゃあな』
嬉しい。
うん、あたし今なら死ねる。
同じタイミングで。
同じことを考えていた。
そんなことが嬉しくて。
たとえ偶然でも、ここまで同じだと、キセキのように思える。
―そして、できるなら。
この気持ちも同じであってほしい。
(願うのは、)
(この気持ちが)
(同じでありますように)