恋ノ唄
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退屈な毎日――…
「ねぇ桜海さん、今日ちょっと用事があるの。だから、仕事変わってくれない?」
「ん、いいよ」
―嘘。
この間も同じこと言って、男の人と歩いてるの、見たよ。
「ありがとう、桜海さん!!今度なんかおごるね」
「ホント?ラッキー♪」
―早くあっち行って。
こっちに来ないで。
―――いつも変わらない毎日。
楽しいことなんて一つもない。
それでも、最初にバイトを始めた頃は少しだけ楽しく感じた。
でもそれもすぐなくなって。
驚くほど退屈な毎日を、それでも過ごしていた。
+++
「……ふぅ…こんなモンかな。そろそろ帰ろ」
頼まれた仕事を終わらせ、バッグを持って外へ出た。
―ふと、空を見上げるとそこには、清々しいほどの青空が広がっていて。
いらついていたのも、少し収まった気がした。
「空………きれい…」
特別急がなければならないようなこともなかったので、そのままゆっくりと家に向かった。
+++
「…ただいま、なんて言っても誰も返事してくんないけど。――…はぁ…」
結局、いつも通り歩いていれば15分でつくものを30分もかけてしまった。
春花は荷物をその場に置くと、すぐに二階へと上がり、自室のベッドに倒れ込んだ。
そして、首にかかったネックレスに手をかけ、なにかを祈るように瞳を閉じる。
「(―――……父さん、母さん……―)」
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