恋ノ唄
□04
1ページ/2ページ
『ついてきて』
そう言われ、あの部屋を出てから数分。
別の部屋に春花達は移動してきていた。
「……なに、これ……」
「彼女はヘブラスカ。キミのネックレスがイノセンスかどうか調べてくれるんだ」
「ふぅん」
対して興味もわかず、それしか言うことがなかった。
たしかにそのヘブラスカ、という人(?)の大きさには驚くものはあるが、さっきのアクマに比べれば、怖い訳ではないし、むしろ優しげである。
「……それだけさ!?」
「え、いやだって…え、興味ないってゆーか…」
ヘブラスカに、というよりは、ほとんど全部に対して。
するりと伸びた、ヘブラスカの手に捕まえられた(?)ときはさすがに驚いたが。
体の中をなにかが這うような、探られているような、そんな感覚。
あまり気持ちのいいものではない。
「………これ…は、イノ…センスで、間違いない……適合率は―…10…25……58…74……88……―どうやら、88%が最高値のよう…だな……」
スッと下ろされ、同時に気持ち悪さもなくなる。
ふらついたところを、また、ラビに受け止められた。
「………チッ…」
助けられたのが悔しいのか、
―それとも。
ラビに触れられたことに対してなのか、春花は忌ま忌ましそうに舌打ちをした。
「ったく…ユウみたいなヤツさね」
ラビも苦笑いはしていたものの、特に気分を害した様子はなく、すぐに手を離した。
―しかし、
「…っあ―……」
足に力が入らず、その場に座り込んでしまった。
「…ムリすんなさ。べつに俺のこと嫌いでも、今は意地張るとこじゃねぇさ」
差し出される手を見つめるだけで、その手を掴もうとはしない。
「いいから、ほら掴まれ」
「…自分で立て、る」
足に力を入れようとしても、思い通りに入らない。
それでも他人の力を借りるのがいやで。
隣でラビがため息をつくのが聞こえた。
―かと思うと、いきなり背負われる。
「な―…っ…離してよ…!」
「だーめ。立てないんだろ。ムリすんなって言っただろ?
いいから黙ってるさ」
「ラビ、」
ちゃんと、名乗った訳じゃない。
ただ、コムイがラビって呼んでたからそう呼んだだけなのに。
.