恋ノ唄

□12
1ページ/3ページ





「………………おそ」


コムイが室長室を出、ネックレスからイノセンスを外す作業に入ってから既に二時間が経過している。

部屋へ帰ろうにも、ネックレスを持って行かれてるので帰れない。


仕方がないので、部屋いっぱいに置かれている本棚から何冊かの本を抜き取り、読んでいた。

それにはイノセンスやノア、神の使途についてなど様々なことが書いてあった。


「…なるほどねぇ………。
要するにあたし達は『神の使途』として、『ノア』や『伯爵』を倒さなきゃいけないワケだ。
そんで、そのためには武器化されたイノセンスが必要ってことか。
はーっ、大変大変。これじゃあホントに退屈なんてしてるヒマないじゃない」


誰もいないのをいいことに、とりあえず一通りの棚を漁った。

次に見つけたのは報告書。
奇怪な事件起こったり、今までに確認されたイノセンス―――とにかく、イノセンスについてのことしか書かれていなかった。



「…ふぅん…」

しかし、それに関しては大した興味も湧かず、元あった場所へ戻しておいた。



「―ふむ、あれだけの書物を短時間でここまで読むとはの」


「―――ッ!!」


背後で突然した声。
すぐさま振り返り、その勢いにのせて、右手を相手の顔面目掛けて―――
振ったハズなのに、そこには誰もいない。


代わりに、先程の声の主である、小柄で目の回りを黒く塗った老人は宙を舞っていた。

何かされるのか―。


春花は瞬時にソファーを盾に、相手から距離をとった。

「ほぉ…。なかなかできるようじゃの」


「こちとら親父にイロイロ叩き込まれてんのよっ!!」


どこに隠していたのか、春花は鋭く、長い針を取り出すと、適当な所へと投げる。

老人はそれが自分に向けられたものではないと判断し、動かなかった。


「…あなたは、誰?」


「あぁ、失礼。まだ名乗っておらんかった。―ワシに名はない。そうだの、『ブックマン』とでも呼んでくれ」


「………ブックマン…。さっきの本にも出てきた。
裏歴史の記録者。
確か、どこの組織にも属さないって書いてあったわ」


――確か、最初に読んだ本だったか、ブックマンについて書いてあった。











.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ