恋ノ唄

□13
1ページ/2ページ




『とりあえず部屋に戻っていいよ』


そう言われたものの、部屋に戻ってきたところで何もすることはなく、ベッドに横になっただけだった。



「……久しぶりだなー…。
銃に刀……あたしの得意分野じゃない」


にんまりと笑い、銃と刀を交互に眺める。

「さーって、これからはどんな毎日になるかなっ♪」


楽しげに呟いて、それから、今自分が言ったことを取り消したくなった。

ここにいる人達は、みんな命懸けなのに。
教団に、ホームに戻って来れることがどんなに幸せなのか。

家族もいるのに、その家族とは引き離されて、それでも生きるために。
生きてまた、家族に会うために。

そんな人達が生きる毎日を楽しむなんてしてはいけない。

全部、昨日ラビから聞いた。


「………それでも、」

呟いて、やめた。

ここから先を言ったら自分は最低な人間になってしまう気がした。

―――まぁ、自分より最低な人間がいるとは思ってもいないけど。


「…ははっ………」


乾いた笑いが静まり返った部屋に、大きく響いた、気がした。


-コンコンッ


ぼんやり天井を眺めていたところで、小気味よくノック音が響いた。


「………はぁい…どうぞ、鍵かかってないから」


けだるげに体を起こし、入って来る人物は誰かと扉を見つめる。

しかし、それが誰かは一瞬でわかった。


「よっ♪」

赤毛が一番先に見えたから。

「………はぁ」


「なんで今ため息ついたんさ!?
ひでーさ!!

せっかく昼メシに誘いにきたのにーっ!!」


「あ、」

そういえば、

そう思って時計を見ると、時刻は既に13時を指している。


「ありがと、ラビ。
お昼ご飯食べるの忘れちゃうところだった」


春花はベッドの上で照れたように笑った。


「………………//」

ちょっとごめん、


そう呟いたのはラビ。

その小さな呟きは、春花に届いたハズもなく。


早足でこちらに向かってくるラビに、春花はきょとんとした顔を向ける。


そして―――

-ぎゅっ


「……………は?」










.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ