恋ノ唄
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『とりあえず部屋に戻っていいよ』
そう言われたものの、部屋に戻ってきたところで何もすることはなく、ベッドに横になっただけだった。
「……久しぶりだなー…。
銃に刀……あたしの得意分野じゃない」
にんまりと笑い、銃と刀を交互に眺める。
「さーって、これからはどんな毎日になるかなっ♪」
楽しげに呟いて、それから、今自分が言ったことを取り消したくなった。
ここにいる人達は、みんな命懸けなのに。
教団に、ホームに戻って来れることがどんなに幸せなのか。
家族もいるのに、その家族とは引き離されて、それでも生きるために。
生きてまた、家族に会うために。
そんな人達が生きる毎日を楽しむなんてしてはいけない。
全部、昨日ラビから聞いた。
「………それでも、」
呟いて、やめた。
ここから先を言ったら自分は最低な人間になってしまう気がした。
―――まぁ、自分より最低な人間がいるとは思ってもいないけど。
「…ははっ………」
乾いた笑いが静まり返った部屋に、大きく響いた、気がした。
-コンコンッ
ぼんやり天井を眺めていたところで、小気味よくノック音が響いた。
「………はぁい…どうぞ、鍵かかってないから」
けだるげに体を起こし、入って来る人物は誰かと扉を見つめる。
しかし、それが誰かは一瞬でわかった。
「よっ♪」
赤毛が一番先に見えたから。
「………はぁ」
「なんで今ため息ついたんさ!?
ひでーさ!!
せっかく昼メシに誘いにきたのにーっ!!」
「あ、」
そういえば、
そう思って時計を見ると、時刻は既に13時を指している。
「ありがと、ラビ。
お昼ご飯食べるの忘れちゃうところだった」
春花はベッドの上で照れたように笑った。
「………………//」
ちょっとごめん、
そう呟いたのはラビ。
その小さな呟きは、春花に届いたハズもなく。
早足でこちらに向かってくるラビに、春花はきょとんとした顔を向ける。
そして―――
-ぎゅっ
「……………は?」
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