恋ノ唄

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「……あ、ここにも川…」

神田を追いつつ、村を見て回る。


未だにファインダーとは合流しておらず、闇雲に歩き回っているだけだが。

「でもホントになんもないとこさね」


「そうだねー。平地ばっか。
神田は出てくし、ファインダーとは合流できないし…。連絡とれないの?」


「んー、さっきから連絡はしてんだけどさ、なかなか繋がんねーんさ。
どーも電波が悪いらしくてさ」



確かにこんなところじゃ繋がりにくいのかもしれない。

ここで止まっていても仕方がないので、とりあえず周囲に目を配りながら歩く。


-クイッ

「へっ!?」


いきなり袖を下に引っ張られ、そっちに目を向けると―


「お姉ちゃん達、どこから来たの?」


「………げ」


子供だ。しかも男の子。
子供は嫌いじゃないけど好きでもない。
でも苦手。



……ちょっと待て。
こんな所に子供?

いや、いてもおかしくないんだけど、なんていうか、違和感がある。



「………春花、ちょっと離れて」


「―…ッ…!!」



瞬間、今いたところを、何かが通り過ぎた。


ラビが引っ張ってくれてなかったら確実に頭がなくなってた。


反射的に銃を取り、少年の頭に焦点を定める。
引き金を弾くのが遅れ、一瞬間があいた。


その一瞬の間に第二撃が来たが、これは半歩下がって躱す。
さらにそこから引いた足を少年の頭めがけて振り下ろした。


当たった感覚がなかったので、振った勢いで一回転し、臨戦態勢をとる。



―ここまでで、二秒。

浅く息を吐き、集中して周りを見回す。
少年の姿はない。

いつの間にか気配も消えている。



「………ラビ、今の何」


「…多分アクマ。
けど、今の動きから見て、レベル2だと思う。
………初っ端からレベル2か……。
ちっと分がわりーな」


「………レベル2……。
レベル2って自我を保てるアクマなんでしょ?
それから、個々の能力があるって本に書いてあった」


「あぁ。
自我があるってのがマズイんだよな。
レベル1みたく撃ってくるだけじゃねぇ。
しかも今ので顔を見られた」


しゃがみ込むラビに目線を合わせるため、春花もしゃがむ。
レベル1というのはおそらく一番最初に見たアクマ。


まるで、泣いているかのような顔をしていた。



アクマは魂と機械、それから悲劇でできるからもしかしたらそれはアクマにされた人達の悲しみを表しているのかもしれない。


そう思うと、少しだけ、アクマが可哀相に思えた。
それと同時に、だからこそ破壊してあげなければならないのだとも、思った。












(アクマを救えるのは、)

(私達だけ。)

(でもそしたら、)

(私達のことは誰が救ってくれるの?)
 

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