恋ノ唄

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「……………ん、」



―また、眠っていたらしい。
少し肌寒くなり、それで目が覚めた。



人の気配がなく、辺りを見回すが誰もいない。

途端に不安になった。


さっきまではいたのに。
寝る前まではいたのに。



「ラビ……っ…?」


どうしよう、なんか寂しい。

なんでだろう。


不安が、押し寄せる。
誰かに、傍にいてほしい。

その『誰か』はきっとラビで。


「おっ、春花起きてたんさー?でもまだ寝てなきゃダメだぞー」

戸口からひょっこりと顔を出したラビ。

「ラビっ!!」


「っわ、どーした!?///」


それがなんだか嬉しくなって、ついラビに抱き着く。



ラビは最初驚いたように少しよろけて、だけどそのうち優しく抱きしめてくれた。




「……教えてあげよっか、『あの時』の『あの事』。」


ふと、頭で考える前に声に出していた。


自分でも一瞬、何を言ってるんだろう、って思った。
だけど、ラビになら話してもいいかなって思えたから。



ラビは何かを考えるように数秒動きを止めて、春花の顔を見つめてきた。




「………でもべつにムリに言わなくても、」



「いいの。ラビには知っておいて欲しいの。」



しばらく押し黙って、それからラビは小さく頷いた。




春花もゆっくりと、言葉を紡ぎ始める。


ラビにはまだ、抱きしめられたままで。




「……あたしの両親が死んだのは知ってるよね。」


「あぁ」



「それで、あたしはその時まだ12歳だったの。
当然何していいかもわかんないし、親族がいたのかも知らなかった。
だから、両親が遺してくれたお金でフランスに渡ってしばらくはそのお金で暮らしてたんだ。」



そこで一度言葉を切って、ラビの顔を見上げる。


ラビは、驚いたような、悲しそうな――そんな顔をしていた。



自嘲気味に微笑んで、話を続ける。
ラビはちゃんと、聞いてくれてるから。



「でも、それだけで暮らしてくワケにもいかないじゃない?
だから14歳になる半年くらい前からバイトしながら、なんとか暮らしてたの。
――それでラビ達と会ったってワケ。
…まずは、両親が死んでから今までのハナシ。


―これから話すことが、あたしが人を信じられなくなった理由だよ。」










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