恋ノ唄

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-ガタンガタン



「………春花も大変ですね。

ケガが治ったばかりなのにすぐ次の任務だなんて」

苦笑を浮かべながらそう言ったのはアレン。


春花はまぁね、と相槌を打って傷痕をなぞった。



「でももう痕が残ってるだけだし。

一週間もあれば消えるでしょ」


「そうですか……」



「それにコムイさんだって考えがあったワケだし。


接近戦が得意な人の方がいいって言うんだから仕方ないでしょ」




――二時間前―


春花達がホームに着いたあと、すぐに春花だけがコムイに呼び出された。



室長室に行くと、そこにはすでにアレンと神田が待っていた。

…神田とはまた同じ任務にあたるのか。



アレンとは久しぶりに会うかな。
………未だにラビとの関係は誤解されたままらしい。


違うんだけど、と口の中で呟いて、それからまぁいいかとアレンの隣に腰かけた。


『あ、春花じゃないですか。
今帰ってきたばかりなんですよね。お疲れ様です。

ケガしたって聞いたんですけど…大丈夫なんですか?』



『あー、だいじょぶだいじょぶ。
もう戦えるし。

帰ってくる途中でもアクマ何体か倒してきたもん』


あははーなんて笑っていれば、横から神田の舌打ちが聞こえてきた。

『バカじゃねぇの。

その程度のケガ治すのに一ヶ月もかかるほうがおかしいんだっつの』


『なっ…神田とは身体の造りが違うんですぅー。

あたしだって早く治ったほうですー』


べーっと舌を出してやれば、それがダメだったのか神田はイノセンスを取り出した。


そして、迷わず抜刀。
振り下ろしてきた刀を、自分の刀で受け止める。



刃を傾けて六幻を流すとそのまま押し込め…ようとしたが、コムイが入ってきたためそれは止めた。

『あのねぇ、ここは修練場じゃないんだから。

修練ならそっちに行きなさい。

―ま、今はダメだけど。
ほら座って座って』


『……神田のせいで怒られた…』

ぶつぶつとぼやきながら座ると、すぐに始まったコムイの話。

あ、そういえば報告とかしてないけどいいのかな。

それともラビがやっといてくれてんのかな?


頭の端っこでそんなことを考えながら、コムイの話を聞いていた。




どうやら次は南米に行くらしい。


『ファインダー達の報告によるとね、ある教会に通っている人達の親族がいなくなるみたいなんだ。

……そして、それは必ずバイオリンの音が鳴った次の日らしい。
でもね、その教会にあるバイオリンは誰が弾いても鳴らないんだって。
―もちろん、牧師が弾いても、ね』


渡された資料にザッと目を通し、今回の任務の内容をおおまかに頭に入れる。



南米は行ったことがない。
地形は少しでも頭に入れておこう。


出発にはまだ時間があるらしいし。


『それじゃ、各自で準備しといてねー』


そう言うと、コムイは足早にその場を去った。














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